ドイツで、ソーラーエネルギーが見直されている理由松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年03月23日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 現在ドイツでは、ソーラーエネルギー政策の見直しが行なわれている。ソーラー発電拡大のため3月3日の閣僚会議において再生可能エネルギー法(EEG)の改正が検討され、売電保障価格の引き下げが指示された。

 ソーラー設備産業にとって売電保障価格は高いほど有利だが、消費者の電力上乗せ料金もそれだけ高くなる。逆に売電保障価格を低く設定すれば消費者負担は軽減されるが、行き過ぎるとソーラー発電への投資意欲が萎み、ソーラー産業に打撃を与えるかもしれない。そのバランスが重要だ。

 今回の時事日想は、環境相Dr.ロットゲンの寄稿からドイツにおけるソーラー発電政策の最新動向を概観してみたい。

太陽電池(モジュール)

ソーラー産業のダイナミック、かつ持続可能な発展のために

 「ドイツの太陽電池産業はこれまで大きな成功を収めてきました。ドイツ企業の技術は世界をリードし、好調な輸出は特に旧東ドイツ地域の雇用確保に寄与しています。ソーラーエネルギーはドイツが力を入れるべき、将来の有望マーケットです。ソーラー発電を拡大し、まずは国内電力の1%、そして将来的には5%を達成することが私の使命と考えています。

 2009年、ドイツ国内で出力3000メガワット分の太陽電池が新たに導入され、累積導入量は9000メガワットに達しました。ソーラーエネルギーはほかの再生可能エネルギーと比較して非常に高い開発ポテンシャルを有し、また、設備価格の大幅な引き下げも期待できます。2009年1年間で設備価格は平均30%値下がりし、2010年もさらに15%の値下がりを予想しています。

 当初、再生可能エネルギー法による売電価格設定の値下げは2009年から2010年にかけて10%を想定していましたが、そのままだと20%の設備価格値下がり分が売電価格に反映されません。このような状況をかんがみ、売電保障価格を16%引き下げることとしました。この価格は、現在進行中のプロジェクトに時間的な猶予を与えるため2010年7月1日から適用されます。EEGの売電補償価格の適正化は、関連企業の安定した成長を可能とし、ソーラー設備市場の適度な成長に寄与します。

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