金融機関の不安が薄れたことで堅調だが利益確定売りもあって上値が重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年03月11日 08時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10567.33△2.95

<NASDAQ>2358.95△18.27

<為替:NY終値>90.5-90.56

金融機関の不安が薄れたことで堅調だが利益確定売りもあって上値が重い

 欧州金融市場の落ち着きや米大手金融機関の不動産部門売却、信託優先証券での資金調達が順調と伝えられたことから、金融不安が薄らぎ堅調となりました。ただ、目先的な過熱感もあり、利益確定売りも多く上値も限定的となりました。景気回復、金融不安の緩和、などは認められるものの、目先的に買い急ぐだけの材料もないということで上値も重くなっているものと思われますが、基調は強含みと見てもいいものと思います。

 足元の業績が好調、受注が好調とされる銘柄群はしっかりと利益確定売りをこなしているようです。景気の回復が企業業績だけではなく、個人消費や雇用にも見られるようになったことが好感されているものと思います。まだ、金融規制の問題や出口戦略、また、経済指標の動向に振らされる場面もあるのでしょうが、「業績相場」への移行を探りながら強含みの展開が続くものと思います。

 個別にはシティグループが資金調達が順調に進んでいることが好感されて買われ大幅高、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)などかつて危機にさらされた金融機関が上昇、また、買収報道が相次いだことから地銀株も買われ、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなども高くなりました。好調な受注や業績期待からボーイングやインテルが買われて指数を下支えする形となり、ハイテク銘柄はグーグルやノキアも大幅高となるなど高いものが目立ちました。原油価格は反発となりましたが、石油株はエクソン・モービルが高く、シェブロンが安く、まちまち、金価格の下落でブリック・ゴールドやニューモント・マイニングは軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は前日に続き、前日以上に値動きの少ない1日となりました。外国人も買い越しと伝えられたことや業績面からは売り急ぐ理由も特になく、下値も限られる一方で、SQ(特別清算指数)算出を控えていることなどから積極的に買い上がる理由も買い戻しを急ぐ理由もなく指数は小動きとなったものと思われます。先物も3月期日のものから6月期日のものへの乗換えが主体で積極的な売り買いに乏しく、指数を大きく方向付けることもありませんでした。

 引き続き米国市場が堅調ながらも上値が重く日本市場は本日も方向感のない展開となりそうです。GDP(国内総生産)の改定値が発表になり、大きく振れるようであれば影響もあるのでしょうが、それを材料に売り買いされた後はまた、方向感がなくなるのでしょう。中国の経済指標なども影響がありそうですが、反応し切れないところもありそうで、底堅いながらも上値の重い展開が続くのでしょう。明日SQをにらんで10500円の攻防や持高調整の売り買いもありそうです。

 日経平均10500円を保つのかどうかが注目されます。10500円台を固めたと考えられれば10800円から900円の1月高値を意識する水準まで上昇となるのでしょうし、逆に上値の重い展開が続くことで、10500円から600円が上値の節目と見られると再び下値10100円台半ばから200円台半ばの水準での底堅さを試すことになるものと思います。SQと言う特殊要因もあり、持高調整の売り買いが見られるのかどうか、目先の需給で動きが出て来るものと思います。

本日の注目点

◇10−12月期の国内総生産(GDP)改定値

◇2月の中国の主な経済統計

◇1月の米貿易収支

◇10−12月期のブラジルGDP

◇決算・11−1月期:オハラ(5218)

◇決算・10−12月期:独フォルクスワーゲン、ルフトハンザ

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