先週最も読まれた記事は「ユニクロの新ジーンズブランド『UJ』の恐るべき破壊力」。2位は「もう限界かもしれない……“ブラック企業リスト”の実態」、3位は「5W1Hに忠実な新聞よりも、グチャグチャな『圧縮新聞』の方が面白い理由」だった。
3月3日から始まったちきりんさんとphaさんの対談。先週のランキングでも、さっそく初回記事が3位に入った。連載小説のごとく、対談はまだまだ続くので楽しみにしていただきたい。
初回記事で触れられていたのが、phaさんが作った「圧縮新聞」というWebサービス。最新ニュースを1つの記事にむりやりまとめようというもので、ちきりんさんもお気に入りのようだ。
そこで筆者も、ニュースをネタにして何らかのサービスを作れないかと考えてみたのだが、以下のようなものはどうだろうか。
【冬季五輪】最初の1分で確信できた浅田真央の金メダル
最後まで見なくても結果は確信できた。 ライバルキム・ヨナの演技も息を呑んで見る必要がなかった。浅田真央の金メダルを確信するまでには1分もあれば十分だった。世界選手権の優勝者はオリンピック(五輪)の金メダルを逃すというジンクスや、SP1位の選手は優勝できないという偏見は、浅田真央の完璧な演技の前ではしん気楼にすぎなかった。
勝負は序盤の3回のジャンプで決まった。 キム・ヨナの直前、21番目に登場した浅田真央の最初のジャンプはSPと同じトリプルルッツ+トリプルトーループのコンビネーション(基本点10.00点)だった。
浅田真央の最高の武器であり、金メダルを決める重要なジャンプだった。加算点が高く、尻もちをつけば少なくて3〜4点、多ければ6〜7点ほど失うことも考えられた。 しかし浅田真央はミスなくこれを決めた。高さも、距離も、着氷も完璧だった。 審判陣はSPと同じ2.0点の加算点を与えた。
これはバンクーバーオリンピックで金メダルを獲得したキム・ヨナ選手の演技を伝える2月26日の『中央日報』記事の一部なのだが、元記事の「キム・ヨナ」選手と「浅田真央」選手の名前を入れ替えている。明らかにうその記事なのだが、浅田選手を応援している人なら、ちょっとうれしくならないだろうか?
阪神が毎日勝ったり、サッカー日本代表がW杯で優勝したり……というように、浅田選手の例と同様、日々のニュースを自分が応援している選手や団体が勝っている記事に書き換えて配信するサービスがあれば、読みたいと思う人はある程度いるのではないだろうか(本当に勝った時はそのままの記事を配信)。
「常勝新聞」とでも呼ぶべきこのサービス、筆者はプログラムに詳しくないのだが、それほど難しいことはしなくてもいいのではないかと思う(著作権的には難しいだろうが)。先ほどの例で、浅田真央選手の代わりに伊藤みどり選手の名前を入れるなどしたら、引退した選手でも永遠に活躍することが可能だ。
人間、必ずしも正しい情報に触れたいと思うものではない。「本能寺の変で織田信長が死ななかったら」という仮定から始まる本宮ひろ志氏のマンガ『夢幻の如く』が読まれたり、古くは義経=チンギスハン伝説が広まったりしたのは、「うそでもいいからそうだったら面白いなあ」という人々の思いがあったからだろう。Twitterで松岡修造氏に似せた熱い発言を繰り返している「修造bot」が人気を集めてるのも、それと同じような感覚を持つ人が多いからなのかもしれない。
ホントじゃなくていい。それっぽいものが、心地よい動きをしてくれればうれしい。あとわずかの命という人なら、この常勝新聞を読んだ方がQOLは高まるかもしれない。もちろん、“報道”という観点では真実を伝えることが大原則なので、うそが混じる(場合によってはうそばかりになる)こういった試みはもちろん問題があるが、読んだ人を幸せにするための「サービス」としてなら“アリ”なのではないか。
まあ最大の問題は、常勝新聞を読んだ方がポジティブな気持ちになれるので、正しい情報を伝える新聞より読者が多くなってしまうかもしれないことだが。
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