1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。
著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。ブログ「吉田典史の編集部」
バンクーバー五輪のスピードスケート男子500メートルで、銀メダルを獲得した長島圭一郎選手と銅メダルの加藤条治選手が、勤務する日本電産サンキョーで「2階級特進」という報道があった。それぞれ係長待遇、主任待遇になるようだ。さらに長島選手に1000万円、加藤選手に600万円を、社長の私費と日本電産サンキョーで折半して贈ることになった。
五輪でメダルを獲得した選手がサポートを受けることは当然であると思う。その意味で、日本電産サンキョーの支援を支持したい。できれば、国や地元の自治体が好成績の選手に何らかの支援をしてほしいと心から思う。
さて、長島選手と加藤選手の「昇格人事」を通して、会社の人事のあり方を考えてみたい。会社員経験の浅かったころの私であれば、このような昇格人事を“八百長”だと否定していただろう。当時、ある友人はこのようなことを言っていた。
「スポーツで実績を残すことと、会社の実績は別のもの。経営陣はそれをあいまいにして、実績のある選手を会社の“歩く広告塔”にしようとしている。そのためにいい加減な人事評価で彼らを昇進させる。平社員のままでは対外的にまずいからだ。だから、適当にうさんくさい役職を付けている」
ここまで踏み込んだ発言になると、経営者や人事部の中には“耳が痛い”と感じる人もいるだろう。しかし最近は、今回のような昇格人事は極めて理にかなったものと思うようになった。
その理由を述べる前に、まず会社の人事評価についておさらいしておこう。この時事日想で何度か述べたが、中堅・大企業の人事評価は、次に挙げたように2つの軸で成り立つ(関連記事)。これらの総合得点で社員の評価が決まるが、それぞれの比率は会社によって違う。
人事評価の2つの軸
(1)実績評価(その期間における成績、実績、例……営業の契約額、契約件数など)
(2)行動評価(協調性、責任感、規律、リーダーシップなど。管理職になると、部下の育成、コンプライアンスなどが含まれる場合がある)
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