“あいつは採用ミス”とレッテルを貼る上司こそ、おかしいのだ吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2010年02月05日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。ブログ「吉田典史の編集部」


 前回の時事日想は、新卒や中途で入社した人が「採用ミス」とレッテルを貼られないためにどうすればよいかを紹介した。今回は、会社がなぜそのようなミスをくり返しているのか、そしてそれを防ぐためにはどうすればよいのかをテーマにする。

 そこで株式会社シェアードバリュー・コーポレーション代表取締役の小林秀司氏と、社会保険労務士の中村紳一氏を取材した。2人ともベテランであり、会社の実情をよく心得ている。まず小林氏は「採用ミス」という言葉について切り出した。

 「入社して3〜4年が経っているにも関わらず、“あいつは採用ミス”とレッテルを貼るのはおかしい。その上司や会社は、甘えています。社員を育てて1人前にするのは、彼らの仕事でしょう。採用ミスは、入社後せいぜい半年以内でトラブルが起きることを意味していると思います。

 また『20代はゆとり教育を受けているからダメだ!』などと言う人がいますね。しかし私は、そうは思いません。少なくとも、当社の採用試験に来る若い人は志が高い。まずは、会社がきちんとした経営理念を求人広告に載せていくべきでしょう。漫然と労働条件を載せている方こそ、ダメですよ。今の20代は、そのあたりは敏感ですから」

 小林氏が経営する会社の求人広告を見ると、確かに経営理念がびっしりと書き込まれている。理念を伝えることは、採用ミスを防ぐためには不可欠という。

 「会社の価値観や理念があいまいな場合は、おのずと採用基準もあいまいになります。そこをクリアにしたうえで、お互いが納得いくまで話し合いをするべき。これからの試験はそのようにしていかないと、採用ミスは続きますよ」

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