“フリー”の中から生まれる、新たな出版革命とは上杉隆×小林弘人「ここまでしゃべっていいですか」(6)(1/4 ページ)

» 2010年01月27日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 雑誌の休刊が相次ぐ中、フリーライターはどのようにして取材を続けていけばいいのだろうか。「書く場がなくなってきている」状況に対し、インフォバーンの小林弘人CEOが“生き残る”ヒントを語った。

小林弘人(こばやし・ひろと)

1994年、インターネット文化を伝える雑誌『WIRED』日本版を創刊。1998年、株式会社インフォバーンを設立し、月刊『サイゾー』を創刊した。2006年には全米で著名なブログメディア『ギズモード』の日本版を立ち上げた。

現在、インフォバーンCEO。メディアプロデュースに携わる一方、大学や新聞社などに招かれ、講演やメディアへの寄稿をこなす。著書に『新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に』(バジリコ)のほか、『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(日本放送出版協会)の監修を務めている。


米国の地域密着型メディア

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(著・クリス・アンダーソン、監修・小林弘人、翻訳・高橋則明、NHK出版)

小林 僕は「上杉さんの記事が読みたい」といった人がスポンサーになれるようなシステムがいいのかな、と思っています。Spot.usの寄付システムの場合、お金が集まらなくても大手メディアが買いにきたときは「それもOK」といった形になっています。いろんなモデルが組み合わさっていて、柔軟に対応できるのがいいでしょう。

上杉 日本のフリージャーナリストも独自の形で行っている人たちがいます。例えば勝谷誠彦さんや山岡俊介さん、日垣隆さんなどは自分のWebサイトを持っていて、課金制にしています。ただクローズにしているので、横の広がりが弱いのかもしれない。

小林 米国では「ハイパーローカルメディア」という地域密着型のメディアがあります。このメディアは寄付だけで成り立っているのですが、東京新聞元ニューヨーク特派員の池尾伸一さんは著書『ルポ 米国発ブログ革命』の中で、「新聞社を辞めたジャーナリストも田舎に戻って、自分でWebサイトを立ち上げている。彼らは新聞社にいたころと同じくらいの給料をもらっている」という事例をいくつか引いています。

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