はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2005年8月28日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
太陽光を利用した“充電式裸電球”を作った、ダルマッパ・バルキさんというインドのエンジニアがいます。小さな太陽光発電パネルを屋根につけて昼間に充電すると、夜に家の中で裸電球が1つ点灯する、というものです。値段は“コスト=売り値”で1つ約32ドル。バルキさんはこの商品で、英国に拠点を置く省エネ推進財団のアシュデンから賞を獲得しています。
インドの電化率は55%(2008年時点)に過ぎず、田舎ではまだ電気のない家や村がたくさんあるので、こういうものを作ったらしいです。電気がないということは、日が暮れたら真っ暗になり、もちろんテレビもクーラーも冷蔵庫もないという生活です。
そういう地域の家にとっては32ドルでもかなり高く、個別の家で買えない場合は村で1つ買って、そこが夜に学校になるようです。村には学校がないのですが、電気がついたことで先生が夜に来てくれるようになり、昼間は働かないといけない子どもたちも字を習うようになったと報じられていました。
一方、先進国からの経済援助、ODA(政府開発援助)を見ると、「ダムを建造して、発電所を作る」というアプローチがあります。その場合は、大量の電気を広い範囲に供給できますが、ODAといっても一部は“有償”(返済義務のある円借款)なので膨大な外貨建て借金が残るし、建設が無償援助で行われた場合でも、ダムや発電所は年間の維持費が高額です。
ODAによる発電援助は、メリットも大きいけど、現地への負担も大きい。電気を利用できるようになっても、各家庭では電気代を払う必要が生まれて、そうすると、せっかくダムや発電設備ができても、貧乏な家には電気がこないということになります。
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