しかし、なぜか多くの政治家や有識者はこの問題を指摘しない。これでは「政権が変わっても変化なし」と批判を受けても仕方あるまい。深田氏は、このようなことも話していた。30代の人がこれを読むと、思い当たるフシがあるのではないだろうか。
「いまの企業はマネジメントにのみ力を入れて、新たなビジネスを始める気概をなくしています。その理由の1つには、1990年代の不況を生き延びた人たち、つまり50〜60代の経営者や役員、管理職などの多くが起業家タイプではなく、管理者タイプであることもあるでしょう」
さらに今後のリストラは、インフルエンザのように広まっていくと捉える。
「リストラは“伝染”するかのように広まっていくでしょう。伝染とは、特定の業界だけでなく、職種でのリストラも増えてくることを意味します。そしてこれまで控えてきた以上、リストラは爆発するように一気に広がる可能性がありますね。家族を抱え込んだ正社員が対象になる以上、家計への影響は避けられないでしょう」
だが、深田氏は悲観的には捉えない。むしろ、これから時代の転換期に入ることを冷静に見つめている。そして「新しい成長の芽はきっと出てくるはず」とも繰り返し話していた。著書『「文系・大卒・30歳以上」がクビになる――大失業時代を生き抜く発想法』では、そのような会社員の生き方にも言及している。
これから、一段と厳しい時代が始まる。だが、閉塞した状況を変える大きなチャンスと見ることもできる。今年は、そのあたりにも触れていきたい。
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