日本からもツアー客が訪れる、レトロなクリスマス市松田雅央の時事日想(1/2 ページ)

» 2009年12月15日 08時10分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 クリスマスの4週間前、つまり降臨節の期間に入ると、ドイツ、オーストリア、スイスなどのドイツ語圏を中心にクリスマス市が始まる。最近は冬の観光の目玉として人気が高まり、海外からもクリスマス市を目当てとした観光客が数多く訪れる。筆者の知人もつい先日「クリスマス市ツアー」に参加し、ニュルンベルク、ローテンブルクといった有名どころのクリスマス市を楽しんでいた。

 クリスマス市に並ぶ色とりどりの屋台では焼きソーセージ、お菓子、ザウアークラウト(酢漬けキャベツ)のベーコン炒め、クリスマス飾りなどが売られ、どこも多くの人でにぎわっている。屋台だけでなく小さなメリーゴーランドや芝居小屋まで登場し、熱々のグリューワイン(ワインに甘みをつけ、シナモン、香辛料で味付けした飲み物)がクリスマスお決まりの飲み物だ。

個性の時代

 最初のクリスマス市がどこで開かれたのか定かではないが、1434年のドイツ・ドレスデンというのが最も古い記録とされる。今ではどんな小さな町や村の広場にもクリスマス市が立ち、市民生活になくてはならない冬の娯楽として定着している。しかしながら、昔からそうだったわけではなく、これほど普及したのは戦後になってから。クリスマス市を開くとほぼ間違いなく人出が見込めるため観光事業として多くの自治体が注目し、徐々に増えたのだという。全国的に有名になれば、遠く日本からもツアー客が訪れるのだから効果は絶大だ。

 ただしクリスマス市もこれだけ数が増えると集客のため個性が求められるようになる。一番古い、一番大きい、面白い伝統、といった特色があれば好都合だが、普通の街の普通のクリスマス市に特別さを求めるのは難しい。率直にいって、たいていのクリスマス市は見た目も中身も似たり寄ったりだから、規模が小さくなるほど集客は不利になる。

筆者の住むカールスルーエのクリスマス市(中央広場)

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