筆者が「職務経歴書」を書き、プロに採点してもらった吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2009年12月04日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。ブログ「吉田典史の編集部」


 労働組合・全労連の組合員がハローワークを訪れた求職者に「切実に求めているもの・重要だと思うもの」を尋ねた。その結果、「再就職先の確保」と答えた人が最も多く、全体のうち57%を占めたという。(「ハローワーク前アンケート中間報告」より)

 私も30代前半の一時期、再就職で思い描いたようにいかなかった。そのとき、いちばん苦闘したのが、「職務経歴書」だった。

 そこで今回の時事日想は、「職務経歴書」の書き方を紹介する。流れとしてはまず、私が書いてみる。そのうえで、転職コンサルタントであり、キャリアコンサルティングセンター代表取締役の今村勝さんに添削していただく。今村さんは具体的なアドバイスと質の高い指導に定評がある。『転職できる職務経歴書』 (インデックスコミュニケーションズ)はお勧めだ。

職務経歴書を書いてみた

 まず、私が書いた職務経歴書を紹介しよう。ただし、架空の人物で「30代半ばの男性、出版社で編集職(正社員)を希望」とした。

            職務経歴書

氏名: 青木篤(あおき・あつし)

年齢: 30代半ばを想定

住所: 省略

自己ピーアール: 新聞、雑誌、書籍に記者や編集者として11年間関わってきた。企画から発行までひととおり体得できている。書籍では、5万部以上のベストセラーを12冊つくることができた。年間12冊発行のペースを5年間守ることを実現した。いまや副編集長としてマネジメントにやりがいを感じている。御社では、編集長としてベストセラーを出しながら、優秀な部下を育てたい。

1998年3月 〇〇大学〇〇学部〇〇学科卒業

1998年4月 業界紙・株式会社映像ペーパー(社員数60人)に入社。新聞部(部員16人)に配属。テレビ局、映画会社などの映像業界の取材や記事を書く。特に取材や原稿執筆の基礎を学ぶことができた。

※始めの2年間は上司や先輩の指示で動いていた。3年目からは自分で企画を立てて、それに基づき、取材や原稿の執筆を進めることができるようになった。

2002年10月 同社退社(依願退職)。ビジネス分野の雑誌や書籍で仕事がしたく、その分野で強い会社を中心に就職活動をした。

2002年12月 編集プロダクション・株式会社エンドロール(社員数20人)に入社。ビジネス系の雑誌や書籍に編集者として関わる。取材は、前職でつかんだことを生かすことができた。上司の指導のもと、雑誌などの制作の流れを体で覚えることができた。

※部員が3人しかおらず、仕事が錯綜していた。それに不満を持ち、退職。

2003年1月 同社退職(依願退職)。ビジネス系の出版社を中心に就職活動をする。雑誌、書籍の双方ができる会社がよかった。

2003年4月 株式会社ABC出版(社員数120人)に入社。書籍編集部(部員11人)に配属。月に1冊のペースで年間12冊の本を編集者として発行する。本の企画、著者との折衝、企画や構成の詰め、進行・予算管理、営業部や広告部への根回し、発行に向けての準備などを行う。

※始めの1年間は、上司のサポートが必要であったが、2年目からはひとりで進めている。特に企画や構成の詰めるところに力を入れるようにしている。

※計70冊をつくり、そのうちベストセラーといわれる5万部を超える本は12冊にもなった。部員の中では、つねに1〜3番の成績。

2009年4月 株式会社ABC出版雑誌編集部へ異動となる。副編集長に昇格。ビジネス系の雑誌「グローイングアップ」(月刊誌)の副編集長として企画、取材先との折衝、企画や構成の詰め、進行・予算管理、営業部や広告部への根回し、発行に向けての準備をトータルに管理する。

※副編集長として部員6人のマネジメント(育成、人事考課など)を上司である編集長とともに行う。

※20代の部下が4人いるので、その育成に力を入れている。上司には部下のことをきちんと伝え、情報共有を進めている。

2009年12月 現在に至る。

備考:ここ数年はマネジメントに強い関心があり、ビジネス書を毎月5冊前後は読んでいる。従業員数10人以下の会社の社長がどのように組織をつくるか、といったことをテーマにしている本をよく読む。小さな会社のマネジメントと現在の私がいる部署のマネジメントは、重なるものが多いからだ。今後は、この分野を編集者としても力を入れていきたい。

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