冬のボーナスが下がる? いや……来年も再来年も上がらない新連載! 吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2009年11月06日 12時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。ブログ「吉田典史の編集部


 数日前、2人の人事コンサルタントに取材をした。彼らに尋ねたのは、今年の冬に支給されるボーナスのこと。さらに来年(2010年)のボーナスについても聞いた。これこそが、今後の会社員の人生を占ううえで大きな意味をもつからである。

 「冬のボーナス? 前の年に比べれば、大幅に下がるでしょう。来年の夏のボーナスも、同じような低い額になるんじゃないかな。問題は来年の冬ですよ。そのころにリーマンショック以前(2008年秋)の状況に戻ればいいんだけど……いまの状況を見ると難しいかな」

 「12月のボーナスは、出ればいいほうでしょう。中小企業では出ないところがたくさんあります。来年の夏? リーマンショック以前の額には戻らない。それは、間違いがないでしょう。冬のボーナスのときも戻れないと思う。当分は戻らないと思いますね」

 前者が、特定社会保険労務士の杉山秀文さん。大手企業の人事部に20年以上勤務し、現在はHRMオフィスの代表として大企業から中小企業までを対象に幅広くコンサルティングを手掛けている。後者は、コンサルティング会社じんざい社の代表であり、人事コンサルタントの柘植智幸さん。主に都内と関西の中堅企業、ベンチャー企業や中小企業のコンサルティング、さらには大学生や専門学校生などの就職支援も行っている。

 2人とも今年冬のボーナスはもちろん、2010年の夏、さらには2011年のボーナスの額も、リーマンショック以前には戻らないのではないかと見ている。つまり、今後はしばらく間、会社員にとって「低収入の時代」になると予言した。

 彼らは、景気の動向を専門に調べるエコノミストや研究者ではない。おのずと、このとらえ方は日々のコンサルティングで感じ取った、いわば体感的なものだ。しかし、それであるがゆえに、私は読者に知らせたかった。日本企業の行く末は、不透明なので、分析は現場に精通している方に“軍配が上がる”と見ているからだ。

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