ロケハンするアニメが増えている理由誠 Weekly Access Top10(2009年10月24日〜10月30日)

» 2009年11月05日 15時55分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「新しい合コンの形、“リョウコン”って何?」。2位は「会社を辞めたい……そう感じる人が多い業種」、3位は「Windows 7発売記念バーガーを食べてみた」だった。

ロケハンするアニメが増えている理由

 4位に入った記事が「アニメを“絵空事”にしないために――『サマーウォーズ』のロケハン術」。『サマーウォーズ』のほかにも、以前取り上げた『らき☆すた』や『true tears』のようにロケハンを行った上で制作しているアニメは多い。1995年の作品『新世紀エヴァンゲリオン』でも箱根の風景が使われているなど、アニメのロケハン自体は昔から行われているようだが、近年特にロケハンをしている作品が増えているように思う。

 ロケハンをする理由として『サマーウォーズ』の細田守監督は、「『アニメの登場人物が自分と同じ現実に根ざした生活をしている』と共感を持って見てもらうため」とコメントしていたが、筆者はもう1つ別の理由もあって増えてきているのではないかと考えている。

 実はシンポジウムでは細田監督の次に、11月21日公開の『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督もロケハン術を語っていたのだが、そのセッションでは物語の舞台である山口県防府市の写真を何千枚(何万枚?)と撮り、ネットワークを通じてスタッフ間で共有して使用しているという制作の裏側が伝えられた。

 片渕監督の話を聞きながら、「これは少し前ならできなかったことだな」と筆者は思った。アナログカメラならフィルム代がバカにならないし、写真の保存や分類の手間もかかるからだ。2000年代に入り、デジタルデータで記録を残せて、それを共有できるようなシステムが誰でも使えるようになったことで、ロケハンのハードルが下がったのではないかと感じた。この推測が正しいかどうかは分からないが、リアルとは対極に置かれることも多いデジタル技術の進歩のおかげで、よりリアルに近づいたアニメが制作される、となっているならちょっと面白いことだなと思う。

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