まるで“HVとEVの見本市”――フランクフルト国際モーターショーを見てきた(前編)松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2009年09月30日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


メッセ会場入り口に立つIAAの広告

 世界3大モーターショーの1つ、 IAA 2009(=フランクフルト国際モーターショー2009。他の二つは東京モーターショー、北米国際オートショー)がフランクフルトのメッセ会場で開催された(9月17日〜27日)。今回で63回目となるIAAが初めて開催されたのは1897年のこと。記念すべき第1回はベルリンのホテル・ビストロを会場にして8台の“エンジン車”が公開されたそうだ。

 現在、IAAは2年ごとに開催されている。前回2007年から2年しか経っていないにもかかわらず自動車を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、世界のクルマ産業が苦境に立つのは周知の通り。その状況を如実に物語るのが世界的自動車メーカーの相次ぐIAA不参加だ。

 もう一点、前回と今回を比べて顕著な変化を感じたのが自動車メーカーのエコカー開発熱である。IAA 2009はまるで「ハイブリッドカーと電気自動車のための見本市」であった。

 今号と次号の2回に渡り、ドイツのクルマ事情と絡めながらIAAの様子をレポートしよう。

ワールドプレミア100台

 IAA 2009のキャッチフレーズは「変化を体験」。この微妙な言い回しはさまざまに解釈できるが、これまでとは違う新たな自動車社会の構図、つまり現状を打破する変化を求める、その気持ちの表れだろう。

 9月29日時点で正式発表はまだないが、入場者は前回の100万人を下回るおよそ85万人。主催者側は「状況は激しく変化しており比較には意味がない」とコメントしているが、それでも目標の75万人を超えることができ、現状を考えればまずまずの成功と言える。入場券の前売りも前回比5%減と比較的好調で、期間中の晴天にも助けられたようだ。

 出展社数は前回より3割以上少ない700まで落ち込んだが、世界初公開(ワールドプレミア)車は逆に1割以上増え100台となり、メーカーが意地を見せていた。

メルセデス・ベンツのワールドプレミア車「SLS-AMG」(左)、メルセデス・ベンツの展示ホール (右)

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