兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
日本のビジネスパーソンは「ドブネズミ色の美しくないグレーのスーツに身を包んでいる」とよく言われる。しかしグレーのスーツの効用を考えてみれば、なぜこれだけ多くの人が着用しているのかは明白だ。
ビジネスのあらゆるシーンに対応できるだけでなく、ネクタイの色を黒や白に変えるだけで、突発的な婚礼や葬儀に出席できる。つまりフォーマルの代用にもなる。またポケットチーフを挿(さ)せば、アフターファイブのデートのディナーや、ちょっとしたパーティーに着て行っても良い。ドレスコードのあるクラブや高級料理店でも恐れることはない。
グレーのスーツを1着持っていれば、これほど頼もしいビジネスウェアはないのである。
ファッションデザイナー兼ファッションプロデューサーの池田ゆう氏はグレーのスーツについて、こう語った。
「お小遣いが少ない若手ビジネスパーソンが1着スーツを買うなら、まずグレーを選ぶべきです。センスよく着ればとてもカッコいいもの。グレーのスーツを着てドブネズミに見えるのは、着こなし方を知らないだけですよ」。実はグレーのスーツほど、着る人によってセンスの差が出るものはないのだ。
グレーのスーツにも、明るめのグレーから暗めのグレーまであるが、池田氏によれば「暗めのほうがいいが、大きな問題ではない」という。また値段も特には関係ない。仕立ての良い高級ブランドのほうが見栄えはするだろうが、1万円の激安スーツであっても、着こなしようがある。デザインに関しても、英国スタイル、アメリカンスタイル、イタリアンスタイルなどという区分は「アパレル業者が売るために使っている、マーケティング用語。海外の服飾用語にそんな言葉はないですよ」と、池田氏は笑い飛ばした。
要は自分の直感を信じて、出せる範囲の値段で、サイズに合ったスーツを購入すればいいということだ。難しく考えることはないのである。
池田氏が指摘する、グレーのスーツを着るポイントを挙げていこう。
これは、上着の襟からワイシャツの襟が少しはみ出す状態。ドレスシャツの色は白が安全かつ知的である。ファッショナブルにしたいなら、襟とカフスの部分のみが白いクレリックシャツを着てもよい。
ネクタイは少し細めのものを選び、一番太い部分で7〜7.5センチの幅が良い。柄は好みで良いが、ベースカラーはスーツと同系色のグレーのものを選ぶと良い。
ネクタイの結び目の下部に縦の窪みを入れる。Vゾーンに人々の目が行きがちであるが、ディンプルマーク(結び目のところの窪み)があるかないかで、印象が全く変わってしまうから注意が必要だ。
2つとも留めたり、開けっ放しではいけない。3つボタンなら基本的に真ん中のみを留める。
これは上着の袖からワイシャツの袖が1.5センチ分、はみ出す状態になっているということだ。
靴に掛かる生地の部分で、しわが1つ寄る長さが良い。
もちろん黒もいいが、茶を履くのもキマっている。
ポケットチーフの色は白かグレーが良い。アフターファイブにサッとポケットチーフを挿しただけで、デートのディナーもプライベートなパーティーもバッチリ。また人の目が胸元に行くので、お腹が出ている人もスマートに見える視覚的効果がある。
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