グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。
※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年5月15日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。
バカ売れで販売一時中止だという。ロッテのガム「Fit's(フィッツ)」のミックスベリー味。売れすぎて供給の追いつかないガムなど聞いたことがない……。このガム、CMを中心とした販売促進戦略が絶妙なのだ。
「噛むンとフニャンフニャンフニャンニャニャンフニャン」。つけていたテレビから流れてくる軽快なメロディーに思わず画面を見ると、佐々木希がフニャフニャとダンスを踊っている。
か、カワイイ……おーっと待った。いい歳をして21歳のファッション誌モデルに鼻の下を伸ばしているワケではない。そのダンスがカワイイのだ。ダンスだってば! 人気俳優・佐藤健も別バージョンでフニャンフニャン踊っている。
ダンスの振り付けはパパイヤ鈴木だそうだ。言われてみればそんな動き、さすがだ。曲も何とも耳に残る。歌うは「たむらぱん」。作詞・作曲・編曲からアルバムジャケットのイラストまで1人でこなすスーパーなアーティストが、自らの楽曲の中でも一番かと思われるようなハイテンション&ハイトーンで楽しい歌声を届けるインパクトの強いCMだ。
さらに同製品のWebサイトでは、YouTubeとタッグを組み、フニャンフニャンダンスを踊って投稿、再生回数を競うコンテストまで開かれているのだ。CMの再生回数は250万回以上、投稿作品でさえ、軽く10万回越えを記録している作品もある。恐るべし。女子高生、親子、小学生、プロのダンサー、様々なひと、グループが趣向をこらした踊りを披露している。ここでは上位の作品を1つだけ紹介しておこう。
YouTubeを使った販促については、以前トヨタ「iQ」のキャンペーンを記事の中で紹介した。しかし今回はトヨタの成功をはるかに上回っている。アテンション、バッチリだ。だが、Fit’sの絶妙な戦略はフニャンの話題性だけではない。
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