「めぐりん」カードで町おこし――フェリカポケットIC CARD WORLD 2009

» 2009年03月04日 04時17分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 「IC CARD WORLD 2009(特集ページ)」の会場内で行われている特別企画展「FeliCa World 2009」の一角にあるのが、フェリカポケットマーケティングのブースだ。3月3日に発表された「めぐりんサービス」を始め、同社が展開するサービス「FeliCaポケット」を利用した新しい取り組みが多数紹介されている。

まずは四国・香川県から。地域活性化カード「めぐりんサービス」

 めぐりんサービスとは、商店街や飲食店といった店舗や、病院、学校、観光施設など地域内の店舗・施設を横断して利用できる共通サービスだ。加盟店は、共通マイレージ、共通クーポン、会員証、チケット、診察券、観光ラリー、簡易プリペイドカード、電子マネーといったさまざまなサービスを、手軽に低コストで導入できる。「地域活性化や観光振興、街おこしのツールとして使ってほしい」(フェリカポケットマーケティング)

 ユーザーは、上記のような日常的に利用する複数のサービスを、1枚のカードまたは対応アプリをインストールしたおサイフケータイを持っていれば利用できる。カードの場合は最大20サービス、おサイフケータイの場合は最大8サービスまで利用可能。

めぐりんカード(左)。Webサイトと連動させたデモ画面(右)

 加盟店は共通のマイレージポイント「めぐりんマイル」や、共通クーポン「めぐりんクーポン※」を発行する。めぐりんマイルは割引などの特典や電子マネーと交換できるほか※※、専用キオスク端末での懸賞やゲームに使うこともできる。

※めぐりんクーポンのほか、各加盟店が独自に発行するオリジナルクーポンもめぐりんカードで利用できる。
※※共通マイルから電子マネーへの交換はオプションサービス。EdyやWAON、nanacoなどのFeliCa電子マネーに対応予定。

 「FeliCaポケット」は複数のサービスを1枚のFeliCaカードで実現できるため、めぐりんサービスでも、カード発行後にも簡単にほかのサービスを追加できるようになっている。

 めぐりんでは地元の商店街や飲食店だけではなく、たとえば病院やクリニックの診察券として使ったり、登下校の際に子供がめぐりんカードをかざすと、親の携帯に安否メールを送ったり、といったサービスにも利用される。また、電子マネー機能を搭載することも可能だ。

 このほか、店舗からのメールマガジン配信や、顧客の利用履歴・動線データを集約して分析するCRM利用も行える。また、めぐりんのWebページにアクセスした回数をカウントし※、店頭などに設置された専用キオスク端末にかざすと、めぐりんマイルに変換できるサービスなども提供する。

※ユーザーがPCのFeliCaポートにめぐりんカードをかざす必要がある。

 

 めぐりんサービスは4月から、香川県でスタートし、他都道府県にも展開していく予定。フェリカポケットマーケティングでは、めぐりんマイルの収益の一部を、東京臍帯血(さいたいけつ)バンクなどの公益団体へ寄付する。めぐりんカードは臍帯血バンクカード・会員カードとしても利用される予定だ。

ペットボトルを回収するとポイントがたまる

 社団法人日本観光協会では2008年、日本を訪れる外国人観光客を対象に、「YOKOSO! Japan Card」というカードを配布する実証実験を行っていた(参照記事)。このカードは、FeliCaポケットをベースに電子マネー(nanacoまたはSuica)を搭載したもの。日本国内の観光地を回ってカードにポイントをためると、帰国時に空港でポイント数に応じて抽選に参加することができた。フェリカポケットマーケティングのブースでは、YOKOSO! Japan Cardのデモも見学できる。

成田空港や羽田空港に設置されていた専用端末。YOKOSO! Japan Cardをかざすと、中に貯めたポイント数に応じて抽選に参加できる

 また、トムラ・ジャパンと開発中のペットボトル回収機も展示されている。これは、飲み終わった飲料ペットボトルを回収すると、回収した数に応じたポイントをFeliCaポケットカードに書き込めるというもの。

 ポイントは、ペットボトルに付けられたバーコードを読み取れる点だ。バーコードを読み取り、商品名やメーカー名を確認しながらペットボトルを回収することができる。これにより、例えば「A社の飲料ペットボトルを回収したときにはポイントを付けるが、B社のペットボトルを回収した場合にはポイントを付けない」といった運用が可能になる。ペットボトル回収の原資を飲料メーカーが負担し、カードに書き込んだポイントで割引をしたり商品をプレゼントしたり、といった利用法を想定している。

ペットボトルはバーコードが印刷された面を上にして回収機に入れる(左)。ペットボトルが回収されたら、ポイントをカードに書き込める(右上)。バーコードを読み取ることで、特定のペットボトル以外は受け取らない、などの運用も可能(右下)

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