新卒の安月給でも社長の高給より価値が高い?誠 Weekly Access Top10(2009年1月10日〜1月16日)

» 2009年01月19日 16時10分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「大画面薄型テレビ、満足度トップは東芝の『REGZA』」。金融不況の深刻化に伴って、薄型テレビの販売金額(2008年10月)は前年同月比マイナスとなったそうだが、興味を持っている人は依然として多いようだ。テレビ番組「アメトーク」で、家電について熱く語る“家電芸人”が人気との話も納得できる。

新入社員の給料の価値は?

 年末年始を間にはさんだことから、実に4週間ぶりのトップ10。お隣のBiz.ID編集部では、新年になってから1月6日1月15日とすでに2回書いているようだが、誠編集部は正月ボケが長引いていたようだ(筆者のサボりです、すみません……)。

 そろそろ書かないとヤバイと思いつつ、Biz.IDのトップ10(1月6日)を読んでいると複利効果を利用して所持金を増やすことが重要という戦略ゲーム「TapDefence」の記事に目が留まった。

 複利効果は資産運用のキモだとはよく言われることだが、その重要性はなかなか理解できないもの。そこでゲームではなく、実際の人生を例にして複利効果を計算してみた。例として、22歳の大卒新入社員の給料(年収分)を定年(60歳と仮定)まで運用し続けたらどうなるか考えてみる。

 新入社員の平均年収を調べてみたが、見当たらないので国税庁の調査で代用。調査によると、20〜24歳の平均年収は251万円ということなので、新入社員の平均年収も251万円と仮定する。

 251万円を全額、日本株式で運用(日経平均株価連動のインデックス運用)したらどうなるのか。マネックス・ユニバーシティの内藤忍氏によると、日経平均株価は過去38年間で年平均10.4%のリターンという。今後もそのリターンが得られるとして、251万円を60歳まで38年間運用すると1億777万円になる。運用で得られるリターンが時代によらず固定ならば、22歳の251万円は60歳の1億777万円と価値が同じと言えるのだ。

 goo求人&転職で紹介されている労務行政研究所の2003年調査によると、「主要企業」(全国証券市場の上場企業および店頭登録企業と、資本金5億円以上かつ従業員500人以上の非上場企業)社長の平均年収は3282万円。22歳から251万円を年率10.4%で運用していくと、26年目の48歳時に3282万円を上回る。たいていの会社の社長は48歳以上だろうから、新入社員の年収は社長の年収の価値を上回ることになるのだ。

 ただ、運用利回りが年率10.4%というのはちょっと高すぎる仮定(昨今の株価暴落の関係でこの数字はもう少し低くなっているはず)。また、インフレに応じて給与水準が上がることも考慮しなければならないし、そもそも給料全額を資産運用に振り向けるというのは非現実的だ(食費が必要だろうし、税金も払わないといけない)。

 しかし、新入社員の給料でも資産運用をする前提で年齢条件を加えるとかなりの価値がある、ということは何となく感じていただけたのではないだろうか。「僕はまだ若いし、資産運用なんて関係ないよ」と、もらった分だけ散財したり、タンス預金したりしているようでは、アリとキリギリスの寓話のように後々大きな差がついてしまう(と書きつつ、筆者は面倒だからと401Kの運用を設定していなかったりする)。

 もちろん人によっては、給料を資産運用に振り向けずに、本を買うなどして自己啓発に努めるほうがリターンは大きいという話もあるし、そもそもお金は資産運用するためにあるのではなく使うためにあるということも忘れてはならないのだが。

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