事故米がはしになる――米から作るプラスチックエコプロダクツ2008

» 2008年12月12日 17時13分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 今年何かと話題になった“事故米”。問題となった農薬に汚染された米のほかにも、古くなりすぎたりカビが生えてしまった備蓄米など、相当量の“食べられない米”が日本国内には存在するといわれている。

 バイオマステクノロジーのブースで展示されている「BTペレット」は、こういう食べられない米を原料に使った、バイオマスプラスチックだ。

BTペレットで作った、はしとはし置き。BTペレットの色そのままだ

生成り色のプラスチック

 BTペレットの主原料は、米のほか、もみ殻、木粉など。これにポリオレフィン※を加えて合成して作る。土には返らないので不要になったら焼却処理することになるが、石油素材のプラスチックに比べ、燃やしたときのCO2排出量が少ないのが特徴だ※※。

※ポリエチレンやポリプロピレンなど、炭素と水素のみからできた高分子材料の総称。
※※オレフィン系プラスチックでできた袋を640トン焼却処理すると3097万トンのCO2を排出するが、BTペレットを43%混ぜたプラスチックバッグを同量焼却するとCO2排出量は2323万トンとなり、約25%削減できる計算。

 一般のプラスチックは石油相場に価格が左右されるが、米を原料とするBTペレットの場合、価格が大きく変動しないのがメリット。国産の食用でない米を材料に使うため、食用の米との競合がなく、また海外に原料を依存しないので地産地消の新しい産業としても貢献できるとする。

 「一般のプラスチックよりは(値段が)高いですが、今年の夏のように原油価格が高騰すると、相対的に高くなく供給できます」(説明員)

 ブースでは、BTペレットを使った文房具や、ゴミ袋などが展示されている。上の写真は、BTペレットで作ったはしとはし置きだ。BTペレットで着色せずに作るとこのような色になる。

BTペレットを使った文房具は少しずつ種類が増えている。青い色を付けたものも発売予定(左)。米ではなく、木から作るプラスチックも販売中。写真は芝生の根がはみ出て生えないように地中に差す仕切り(右)

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