銀座で“癒やしのカクテル”を作る、東大卒バーテンダー――阿部佳則氏(前編)あなたの隣のプロフェッショナル(1/5 ページ)

» 2008年11月15日 07時45分 公開
[嶋田淑之Business Media 誠]

 「銀座のバー(Bar)」と聞いて、あなたがイメージするものは何だろうか? 

 カジュアルなファッションでは行きにくい格調の高さ、お酒の知識に長けた大人の男が楽しむ空間、いくらかかるか分からない会計、店内に漲るピリピリとした緊張感……あるいは、"水商売の女性を同伴するお金持ちが幅を利かす場所”などというイメージもあるかもしれない。

 いずれにしても、何となく躊躇するようなハードルの高さが感じられることは確かだろう。「自分には関係ない世界」と思う人も多いのではないだろうか。

 そんな銀座のバーの世界に新風を吹き込み、話題となっている人物がいる。「Bar Healing Water」のオーナー阿部佳則さん(38歳)だ。

オープン半年で銀座の人気店に

「Bar Healing Water」のバーテンダー、阿部佳則さん

 阿部さんはこの店を1人で切り盛りしている。月曜日から土曜日まで毎日、午後7時オープン、午前2時ラストオーダーというのが基本スタイルだ。

 Bar Healing Waterの場所は、銀座中央通りの新橋寄りにある銀座博品館のすぐ裏手という抜群の立地。付近には、有名飲食店が軒を連ね、世界的なブランドショップもずらりと並んでいる。最近、長蛇の列で大きな話題になったスウェーデンのファッションブランド「H&M」日本第1号店も、すぐ近くにある。

 「おかげさまで、マスコミからも注目していただき、滑り出しは順調です」と阿部さんは微笑む。

 阿部さんの経歴は、バーテンダーとしてきわめて異色だ。東京大学農学部を卒業、獣医師の免許を有し、第一製薬(現・第一三共)に就職。第一製薬では、治験担当者として全国を飛び回っていた(詳しくは次回述べる)。このユニークな経歴も相まって、2008年6月にBar Healing Waterがオープンして以降、さまざまなメディアに取り上げられ、客足も非常に好調だという。とりわけ若い女性たちの人気が高いようだ。客層の中心は丸の内・大手町のビジネスパーソン男女だが、深夜になると、店のハネた水商売の女性たちも来店する。

雑誌「Hanako」や夕刊紙「日刊ゲンダイ」にも掲載された
日付 内容
7月16日 TOKYO FM「ANOTHER DOOR」出演
8月8日 TBS「はなまるマーケット」出演
9月10日 日本テレビ「Oha! 4 NEWS LIVE」出演
9月25日 「Hanako」銀座特集に取材記事掲載
10月6日 「日刊ゲンダイ」に取材記事掲載

 これまで取り上げられた媒体は以上の通り。興味深いのは、銀座のバーの主な顧客層である中高年男性だけではなく、「はなまるマーケット」や「Hanako」といった、OLや主婦層をターゲットにした媒体でも紹介されている点だ。その要因は、そのユニークな経歴にだけ隠されているのだろうか?

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