遊んでいたゲームを知れば人となりが分かる?誠 Weekly Access Top10(2008年10月11日〜10月17日)

» 2008年10月20日 14時53分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「謎だらけ? 吉野家のWAON導入」。「イオン系のショッピングセンターなどで使えるWAONの利用者層と、吉野家の利用客層は一致しないのではないか」という記者の疑問から生まれた記事だ。確かに主に女性が利用するWAONと、男性客が多い吉野家とでは相乗効果はあまり期待できない気がする。

 5位に入ったのは「どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(2)東京エリア編その1」。先週に引き続いてのトップ10入りだ。記事で触れた鉄道は、通過している地域以外の読者には分かりにくいかもしれないと心配していたが、想像より多くの人に読んでいただいたようで編集部としても少し安心しているところだ。

ゲームと人生

 10位にランクインしたのは「「中2でApple株を買った」――投信王1位の東大生に運用の極意を聞いてきた」。しかし、バーチャルトレードの腕前が、現実の投資の腕前と比例するかという点については疑問のある人も多いだろう。

 実際、投信王の上位者には「ポートフォリオを特定の業種で固めるというような、現実ではやらないような高リスクの取引をあえてやる」戦略をとり、たまたま良い方向に相場が動いただけという人もいる。投信王では失敗してもゲームで負けるだけで済むが、現実でそんな戦略を採用することは難しいだろう。だが現実で使えない戦略とはいえ、そのリスクの高い戦略を練るためには、ある程度株式市場について勉強しなければならないはず。その勉強した経験が現実の取引で生かせない、ということはないはずだ。

 考えてみれば、バーチャルトレードに限らず、ゲームの経験を現実に応用している人は少なくない。特に20代の人たちにインタビューしていると、仕事に関係するゲームにハマった経験があるという人がいるので、驚いてしまう。

 論理的な思考が得意なあるプログラマーは、パズルゲーム「パネルでポン」が得意だったと話していた。また、不動産営業で会社の新人賞を獲得した女性は、都市開発ゲーム「シムシティ」が好きだったと言う。筆者自身もオンラインゲームでモノを生産して売り買いしたことで、経済の仕組みの一端を学んだように思う。

 「ニワトリが先か、卵が先か」と同じで、「ある能力が高いから、その能力が試されるゲームをする」のか、それとも「ある能力が試されるゲームをするから、その能力が高くなる」のかは分からない。ただ、興味のある分野の能力を伸ばすためにゲームが役に立っていることは間違いないと思う。

 能力を伸ばすだけでなく、ゲームは人生観にも大きな影響を与えているかもしれない。「○○の本から影響を受けた」という話はよく聞くが、本は数時間程度で1冊を読み終えられる。しかし、ゲームでは1つの作品を数百時間プレイすることも珍しくない。伝える情報量に差はあるかもしれないが、それだけの時間接していて影響がないということは考え難い。実際、錬金術を題材にしたゲーム「エリーのアトリエ」にハマった末に、大学で化学を専攻した友人が筆者にはいる。

 「本棚を見れば人となりが分かる」という人がいたが、現代では「遊んでいたゲームを知れば人となりが分かる」と言えるかもしれない。

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