おい自分、チカラ抜けよ――再発見の自転車ツアー郷好文の“うふふ”マーケティング(1/2 ページ)

» 2008年09月18日 15時30分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

 マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年より某会計系のコンサルティングファームのマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」


 夏の終わりの日曜日、自転車ざんまいの1日をたっぷり味わった。東京の隠れた名所を自転車で巡る、散歩ならぬ“散走”。それは、生活の中に自転車が入ってくる体験だった。

自転車文化創造拠点「OVE(オーブ)」

 自転車パーツ最大手シマノが2006年、南青山にオープンしたアンテナショップ「OVE(オーブ)」。“自転車文化創造拠点”として、自転車やサイクル用品、関連図書が並ぶナチュラルな雰囲気のカフェだ。

 OVEでは単なるアンテナショップの枠にとどまらず、毎月4〜6回ほどグループで自転車に乗って散策する“OVE散走”を開催している。9月7日、“東京謎解き散走”と題したツアーに私も参加し、朝9時から夕方までどっぷり謎解きにハマった。

参加者ほぼ全員がリピーターの謎

 謎解き散走当日、店舗に入るとずらりと並んだヘルメットがお出迎え。奥にはパーツ倉庫や修理用具一式も見える。

 「自転車を選んでください」と話すのは散走リーダーの三好さん。レンタルしたオートマチック自転車「SMOVER(スムーバー)」は、自動変速自転車。

出発前記念撮影。中央ピンクはルイガノの2009最新モデル

 謎解き散走ではオリエンテーリングのように地図を見ながらポイントをたどる。A・B・Cの3チームそれぞれに、3〜4人の散走ライダー(申込者)と2人のOVEスタッフが振り分けられる。私はAチームで、渋谷の自宅から愛車のSMOVERを駆ってやってきた男性Nさんと、どんな自転車を買おうかと思案中の女性Uさん、スタッフの佐々木さんと田辺さんの計5人。

 出発前に各々の自己紹介。驚いたことに私を除くほぼ全員が散走のリピーターだった。なぜだろうか? 謎解き散走が始まる前に、謎をかけられた。

自分、チカラ抜けよ

 9時30分を過ぎたころには全員が集まり、皇居の北の丸公園を目指して、いざ出発。

 しかし、みんなス〜イスイと進んでいくものの、私のSMOVER、カチャカチャとペダルがカラ回りしてなかなか前に進まない。やっとの思いで北の丸公園までたどりついたところで理由が分かった。

 力を入れて踏み込み過ぎていたのだ。

 自動変速車はゆっくりとこぎだすもの。スピードを競わず、散策しつつ走るのが散走だ。いつも余計な力を入れて空回りなのが、私の人生。またやってしまった。おい自分、チカラ抜けよ。

 北の丸公園では、最初の目的地の謎解き地図を受け取る。謎は「越後屋(三越)をよく作品に登場させたことから、日本橋三越の屋上に石碑が建てられた小説家は誰?」。去来する名はあれども、ともかくは目的地の三越までどの道を通るか考えよう。

さて散走スタート(copyright by Megumi Sasaki)

 先頭は交代制でまずはNさん。「この辺は庭みたいなもんですよ」と自信あふれるお言葉。その通り迷わず一直線に向かえた。

 日曜の三越に、自転車用のヘルメットと短パンで入ったのは初めて。受付嬢にチラリと見られただろうか? 屋上に上がると石碑あり! なあんだこの人か(過去問は再使用するらしいので答えは秘密!)。

左からNさん、私、Uさんの3名。答えバレてますか?(copyright by Megumi Sasaki)

 さぁて次は、富岡八幡宮にある偉人の銅像探し。先導役は人生に方向舵無しの私。日本橋から人形町、箱崎へ向かう。道路は自動車の一方通行。そこで私から謎を1つ。「自動車の一方通行道路、自転車は車道を“逆走”できるか?」。答えは「標識次第」。標識に「通行可」とあれば逆走可、無ければダメ。自転車も道交法を守りましょう。

 隅田川大橋手前までス〜イスイ。しかし、何と高速高架下で道が途切れている! 迂回するしかないかなと、汗がたら〜り。すると、Uさんが目ざとく「ここに道があります!」と、橋上へ上がる道を発見。橋は案外自転車に優しい構造になっている。

 富岡八幡宮に着くと、恒例の骨董市が開催中。アレコレお店を散策しているうちに答え探しを忘れそうになる。隅っこに目的の銅像を発見して、お昼は近くの和食処「富水」で穴子丼をいただく。穴子3匹が器からハミだすほどの大きさで、「うまい」「デカい」「安い」(しめて1000円)。OVE散走では謎のポイントをめぐるだけではなく、うまい店や甘味処、佃煮屋までチェックできるのだ。

(郷撮影)

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