9月12日、KDDIと北海道日本ハムファイターズが、au携帯向けサービス「ファイターズケータイ」を開始すると発表した(関連記事)。これはプロ野球チーム 北海道日本ハムファイターズをモチーフにしたメニューデザインやデスクトップガジェット※をパッケージ化し、最新のau端末が持つユーザーインタフェース(UI)交換サービス「ナカチェン」機能を使って提供するというもの。さらにUIだけでなく、端末の外装も丸ごと行う「フルチェン」サービスを使い、端末の見た目もカスタマイズできる。まさにファイターズファン向けの携帯電話である。
特定ブランドのファン向けに、デザインや機能をカスタマイズした○○ケータイといった具合にカスタマイズされた端末を投入する。これはカスタムケータイと呼ばれ、携帯電話業界では古くからある商品戦略のひとつだ。
例えば1990年代には、メルセデスベンツの公式ロゴが入ったドコモ用の携帯電話(実際には松下通信工業製のメーカーブランド)がベンツオーナー向けに販売されたほか、NTTパーソナルの「ドラえもんPHS」やDDIポケット用のPHS「たまぴっち」(たまごっち内蔵/バンダイ製)などが登場。1999年に発売されたドコモの初代iモード端末では、サントリーのBOSSとコラボレートした非売品の「BOSS電」が人気を博した。
その後もコアなファン層を狙うカスタムケータイの流れは脈々と続き、ツーカーセルラーの「フェラーリケータイ」が登場(フェラーリケータイは後にボーダフォンからも発売された)。また、パナソニックモバイルやソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが導入した外装の「パネル交換」では、さまざまなブランドやキャラクターのカスタムパネルが一市場を築き上げた。
そして、カスタムケータイの最近のトレンドが、外観デザインや待受画面・着信音だけでなく、携帯電話のメニューも含めた表示画面すべてをカスタマイズする“UIの丸ごと交換”である。
このような「UI丸ごと交換」のカスタムケータイを、初めて大規模に市場投入したのがソフトバンクモバイルだ。同社は2007年秋冬商戦向けモデルである funfun. 815T(東芝製)をベースにしたカスタムケータイのラインアップ「キャラクターケータイ」(通称キャラケー)を投入。「スヌーピーケータイ」や「ハローキティケータイ」を皮切りに、有名ブランドや芸能人とコラボレーションした携帯電話を数多く発売している。ソフトバンクモバイルでは、これ以外にもソフトバンクホークスとブランド連携した特別モデル「ホークスケータイ」(シャープ製)や、30代を中心に幅広い人気を誇るガンダムをモチーフにしたガンダムケータイ「913SH G TYPE-CHAR」(ジオニック社製)なども投入している。
ソフトバンクモバイルのキャラケーの狙いは、ベースモデルをカスタムすることで、特定のファン層向けに商品訴求力を集中し、販売促進につなげるところにある。ニッチだが濃い“特定ファン層の市場”にフォーカスし、それらを積み上げてユーザーを獲得しようとしているのだ。
一方、冒頭で紹介したファイターズケータイなど、auのカスタムケータイの流れは、ソフトバンクモバイルのキャラクターケータイよりも、さらに一歩先を進んでいる。
auのカスタムケータイは、ファイターズケータイのほかに、サザンオールスターズをモチーフにした「サザンケータイ」、吉本興業所属の芸人が企画・プロデュースした「よしもとケータイ」などが、すでに登場している。これらのカスタムケータイは、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「フルチェンケータイ re」を主なベースモデルとし、外装デザインから待受画面・着信音だけでなく、メニュー画面などUI全般もカスタムされている。ここまではソフトバンクモバイルのキャラクターケータイと同じアプローチであるが、auならではと言えるのは、その上で「サービス連携」にもさまざまな工夫がされていることだ。
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