そんなこんなで、あっという間にプロジェクトのキックオフミーティング当日を迎えた。
なんとも気持ちの落ち着かない誠は、開始30分前から会場の会議室内をウロウロしながら机と椅子の配置を確認したり、配布資料を並べたりして、必死に気を紛らわす努力をしていた。そこに先輩の仲居貴一が声をかけてきた。
仲居 久しぶりだな、誠。今回はずいぶんと張り切ってるそうじゃないか? まさかお前がリーダー役とは正直驚いたが、これも俺の指導のおかげだから感謝しろよ。それはそうと、この間のあいさつメール、あれはいったいどういうつもりなんだ? そういう大切なことをメール1つで済ませるヤツがあるか! 少しは先輩に敬意を払って、直接説明に来たっていいだろう?
誠 すみません、準備に追われていて水戸に行く暇がなかったんです。なんせ新米リーダーなので段取りもよく分からなくて。
東山 まあ仲居、そのくらいで勘弁してやれよ。
いつの間にか、会議室のドアに東山部長と坂口賢二が立っていた。続いてやや緊張した面持ちの山口勉、その後から浜崎しほも会議室に入ってきた。
浜崎 おはようございます、東山部長。中村リーダーも張り切りすぎないようにね。
開始時間ぎりぎりになって慌ただしく飛び込んできたのは小栗順だ。小栗が、ぶぜんとした表情で席に座るのと同時に、誠が口を開いた。
「このプロジェクトのリーダーを務めることになりました、商品企画室の中村誠です。皆さん、よろしくお願いしまーす!」
そのとき、再び会議室のドアが開き、小石川社長ともう1人、見慣れない人物が連れ立って会議室に入ってきた。(第3話に続く)
ジェネックスパートナーズ取締役会長。米ゼネラル・エレクトリック(GE)で、シックスシグマによる全社業務改革運動に、改革リーダーのブラックベルト(専従リーダー)として参加後、経営コンサルタントに転身。
2002年11月、お客様とともに考え、ともに行動するパートナーとしての視点から、お客様の成果実現のために企業変革を支援し、事業価値向上に貢献するプロフェッショナルファーム「ジェネックスパートナーズ」を設立。日本企業再生を目指して、企業変革活動の支援を推進している。著書に『図解コレならわかるシックスシグマ』、『これまでのシックスシグマは忘れなさい』などがあり、中国、韓国、台湾等でも翻訳出版されている。
「誠」世代が“自立する=自ら考え正しく行動できる”ことが、今後の日本経済を支えるといっても過言ではありません。社会に出たビジネスパーソンとして自立するためのきっかけは誰にでも必ずありますから、そのチャンスに果敢にチャレンジしてほしいと思います。
しかしその際、気合と根性だけでは徒手空拳も同然。本連載でご紹介するようなビジネスリーダーとしての心構えと基本動作を身に付けておいたほうが無難でしょう。これらは難しく考えるのではなく、実際に試してみることが大切です。
本連載の主人公・誠は、おっちょこちょいではありますが、好奇心と向上心を持ち合わせたがんばり屋です。誠のように『天は自ら助くるものを助く』の精神でプラス思考で臨んだリーダーこそが、最後にはきっと生き残るのです。
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