温暖化を止めるため、日本は1960年代前半に戻るべき?誠 Weekly Access Top10(2008年6月1日〜6月7日)

» 2008年06月12日 12時35分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 先週もっとも読まれた記事は、保田隆明氏のマンション売買記記事の第3弾(参照記事)完結編の第4弾は4位、第2回(参照記事)も8位にランクインした。

1990年に戻したって仕方ない

 誠では各社の調査結果をまとめた記事を多く掲載している。記事は調査結果に沿った形で書くのが原則で、記者の感想はあまり挟まないようにしているのだが、内容によっては、思わず一言いいたくなることもある。

 先日掲載した、「地球環境を守るため、生活レベルをいつ頃まで戻せますか?」という記事もそうだった。

 記事のタイトルになっている問いに対して、女性は「1990年」まで、男性は「2000年」までなら戻せると答えた人が最も多かったそうだが、個人的には、この結果にはかなり違和感があった。はてなブックマークのコメントにも多くあった通り、「バブル期に戻しても今よりエネルギー消費量が多いのでは?」と思うためだ。

1960年代ならどうだろう?

 実は、この問いを見てまっさきに思い出したのが、橋本治氏の「日本の行く道」という本。この本の中で、氏はこう書いている。

 どうすれば、地球の温暖化は回避出来るのか?

 答は簡単です。「産業革命前の段階に戻せばいい」です。「そんな落とし所があっていいのか?」と言いたいくらい、めちゃくちゃな答えです。

 さすがにそれは無理だろう、ということで、橋本氏は「1960年代前半に戻す」「そこから日本独自のあるべき道を探す」ことを提案する。1960年代前半がどんな時代だったのか残念ながら記者は知らない(まだ産まれていないから)が、しかし自分の親が子どもの頃だと思えば、がんばれば戻せそうな気がする。

 まず日本の見た目を1960年代前半に戻すために、氏が勧めるのは“超高層ビルをなくす”という方法。なぜ超高層ビルをなくすと日本のあるべき道を探れるのか? 確かに“めちゃくちゃ”ではあるけれどとても面白い話なので、興味がある方は是非ご一読を。

日本でサマータイム?

 さて、「地球環境を守るため、生活レベルをいつ頃まで戻せますか?」で、個人的に一番引っかかったのは最後の1段落だった。

 毎年3月の最終日に時計の針を1時間進め、10月の最終日曜日に元に戻すことで時計を調整するサマータイム(時期は国・地域によって違う)。日の長い夏の時間を活用することで、エネルギーの消費を抑えることができるとされるサマータイムの導入について、75.0%は「賛成」と回答した。同社が1995年に実施した調査では、サマータイムの導入に賛成した人は56.5%だったことから、13年間で20ポイント近く賛成派が増えた。

 賛成75%、つまり4人に3人がサマータイムに賛成って、本当……?

 海外に出かけるときにサマータイム開始日(または終了日)をまたぐと、慣れていない日本人はちょっとした混乱に陥りがちだ。目覚まし時計の時間を直し忘れて遅刻したり(あるいは早く着きすぎたり)、1時間間違えて他国へ電話をかけたりといったミスをしてしまう。

 実は記者もこのミスをやらかしたことがある。大学の先生と会う約束をしていたのに、間違えて1時間待たせてしまったのだ。

 日本でサマータイムを導入するメリットは少ないだろう――記者はそう考えている。想像すればするほど、サマータイムを導入するメリットよりも、デメリットのほうが大きいように思うのだ。なぜそう考えるのかを書きかけたのだが、あまりに長くなってしまったので、その話は別記事にしたいと思う。

 ちなみに記者が待たせてしまった教授は寛大な人で、「今日からサマータイムだからね。よくあることだよ、ハハハ」と言ってくださった。実際、慣れている国でも、開始日や終了日には間違いが起こるものらしい。しかしもし日本でサマータイムを導入した場合、今のビジネスシーンで、他者の1時間の間違いを許す心の余裕が日本人にあるだろうか?

 そういう観点から考えても、日本でのサマータイム導入は難しいのではないか。自分で書いておきながら、あまりに寂しい話ではあるが……。

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