IFATへの出展には登録料(240ユーロ)と基礎小間料(1平方メートル当たり134〜144ユーロ)が必要となり、それとは別にスタンドの設置にも費用がかかる。独自技術と意欲はあっても、費用負担がネックとなり出展に二の足を踏んでいる中小企業のために、いくつかの州や業界団体は出展援助を行っている。ニーダーザクセン州の経済省が補助する共同出展ブースもその1つだ。
共同出展のメリットは出展費用負担の軽減にとどまらない。各種手続きの手間が省けるほか、単独では難しいPR活動も行ってくれるため、注目度がアップするといった効果もあるだろう。
ニーダーザクセン州の共同出展12社の1つに、排水処理機器の開発・設計を手掛ける企業、IPPがある。その展示資料を見ると、英語に加え中国語でも説明が書かれ、中国人技術者もブースに常駐している。同社は水不足に悩む中国での事業拡大を狙っており、排水を簡易浄化し中水※としてトイレで使用する設備を北京の大学学生寮に納入した実績を持つ。
IFATにおいても、開催を重ねるごとに中国の存在感が増している。環境産業にとって、中国は今後急速な発展が期待される巨大な有望市場であり、例えば世界的な金属リサイクル機器メーカーA社も中国から大型機器の大量受注があったという。しかし、欧米を拠点として活動してきた企業にとって中国市場は未知の部分が多く、法律の未整備、商習慣、メンタリティーなどでトラブルが発生しやすい。
また社会的にリサイクルシステムが整備され、ゴミ分別の質をこれからどう高めるかがテーマのヨーロッパ市場と、ゴミの分別という概念が育っていない中国では、ゴミ処理機器に求められるものが異なる、といったように話の噛み合わない部分が出てくる。
A社にとっても、中国が納入した機器の高性能を本当に必要としていたのか、あるいは国内権益確保のため、あえて過剰な高級機器を導入したのか読めないそうだ。いずれにしても中国への視線は熱く、IFATは2004年から上海でも開催されている。アジア方面は時代の流れが速いため2年ごとの実施で、今年も9月に開催される。
さて、次号はIFATレポートの2回目。廃棄物とそのエネルギー利用に焦点を当て、ドイツにおける環境ビジネスの潮流を探ってみたい。
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