3月はFeliCaをICチケットとして利用している、交通系電子マネーを中心にサービス拡充が進んだ。また、おサイフケータイにプリインストールされた決済系サービスについても大きな動きがあった。
昨年(2007年)3月からスタートしたPASMOと、Suicaとの相互利用開始(参照記事)。ちょうど1年が経ち、さまざまな機能拡張が行われている。大きなトピックとしては、JRと私鉄・地下鉄の連絡定期券の発売範囲を拡大し、3線連絡定期券の発売を開始したこと、新潟や仙台のSuicaエリアでもPASMOが利用できるようになったことなどがある(参照記事)。なおパスネット協議会では、PASMOが十分に普及したと判断、磁気式のプリペイド共通乗車券「パスネット」の利用を3月14日で終了した(参照記事)。
また、JR各社ではSuica方式のIC乗車券の提携を活発に進めており、新しいサービスの提供が始まっている。JR東日本「Suica」/JR東海「TOICA」/JR西日本「ICOCA」の相互利用や、モバイルSuica特急券サービスの開始などがそうだ(参照記事)。
NTTドコモは3月17日、らくらくホンとしては初のおサイフケータイとなる「らくらくホン プレミアム(F884i)」を発表した。(参照記事)。らくらくホンシリーズは、“使いやすさ”を重視したユニバーサル端末。らくらくホンプレミアムには、メニューを絞り、大きな文字で見やすい表示の専用Edyアプリもプリインストールされる。
また、これまでモバイルSuicaは「アプリのサイズが大きい」「首都圏以外のユーザーは利用できない」などの理由で端末へプリインストールされることはなかった。しかしKDDIは、「W62S」以降のau端末に、モバイルSuicaアプリをプリインストールする方針だ(参照記事)。
流通系電子マネーの話題としては、セブン-イレブン用の電子マネーとしてスタートした「nanaco」が、グループ傘下のファミリーレストラン「デニーズ」(参照記事)や、イトーヨーカドーの食品売り場でも利用できるようになった(参照記事)。
以下、各社が発表しているFeliCa決済の最新データについて、プリペイド型電子マネーとポストペイFeliCa決済に分けてまとめる。
以下の表では、FeliCaを利用した決済方式のうち、電子マネー(前払いでお金をチャージし、そこから減算して利用する)の利用状況をまとめている。いずれも3月末時点の数字だ。
3月からパスモ協議会は、PASMOについて、累計の発行枚数ではなく、流通枚数を発表することとしている。従って下表には、回収されたPASMOの数は含まれていない。また、JR西日本はSuica・ICOCA電子マネーの相互利用開始を受け、3月よりICOCAの利用可能店舗数について、Suica+ICOCAを合わせたものを発表することとした。3月分の利用可能店舗数としてJR西日本では“4万0620店”と発表しているが、下表ではSuicaの(3万3750店)を引いた数字を表示していることをお断りしておく。
サービス名 | 事業者名 | 発行・流通枚数(おサイフケータイ分) | 利用可能店舗数 | リーダー/ライター台数 | 3月の月間利用件数 | いつ時点の数字か | 備考(※) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Edy | ビットワレット | 3880万枚(760万) | 7万4000店 | 非公表 | 2400万件 | 3月末 | Edy決済が利用できるWebサイトは約5000 |
ICOCA | JR西日本 | 354万枚(なし) | 6870店※ | 非公表 | 55万6000件 | 3月末 | 相互利用できるSuica加盟店を加えると4万0620店 |
nanaco | セブン&アイHLDGS | 563万件(79万) | 1万8553店※ | 非公表 | 2900万件 | 3月末 | デニーズ573店、イトーヨーカドー34店を含む |
PASMO | PASMO協議会加盟事業者 | 798万枚※(なし) | 4950店 | 非公表 | 444万件 | 3月末 | 累積発行枚数ではなく「流通枚数」なので、回収されたPASMOは含まれない |
Suica | JR東日本 | 2105万枚(98万) | 3万3750店 | 6万7470台※ | 1935万7000件※ | 3月末 | 相互利用できるPASMO、ICOCA加盟店を加えると4万4210店。利用件数は2534万件からPASMO、ICOCAを引いて算出 |
WAON | イオン | 380万枚(非公表) | 2万4000店 | 約5万台 | 非公表 | 3月末 | なし |
スルッとKANSAIは、3月25日、PiTaPaの会員数が100万人を超えたと発表した。PiTaPaは2004年8月にスタートした、世界初のポストペイ式交通ICカード兼電子マネー。関西エリアを中心とする私鉄・バスで利用できる共通乗車券としてスタートし、2006年1月からはJR西日本「ICOCA」と相互利用できるようになっている(参照記事)。
下表では、後払い式のFeliCa決済サービスの利用状況をまとめた。なお今回調べた数字は3月末現在のものだが、表中、QUICPayだけは2月末のものとなっている。
サービス名 | 事業者名 | 会員数(おサイフケータイ分) | 利用可能店舗数 | リーダー/ライター台数 | 月間利用件数 | 発行会社数 | 備考(※) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
iD | NTTドコモ、三井住友カード他 | 667万人(466万※) | 非公表 | 30万台 | 非公表 | 59社 | 3月末の数字。携帯ユーザーはDCMX/DCMX miniユーザー数より推定し、2007年12月末の数字 |
PiTaPa | スルッとKANSAI | 101万人 | 1万8000店超 | 非公表 | 90万件 | 17社 | 3月末の数字 |
QUICPay | JCB、トヨタファイナンス他 | 375万人 | 非公表 | 10万台 | 非公表 | 15社 | 2月末の数字 |
VISATOUCH スマートプラス |
三菱UFJニコス※ | 46万人(約23万人) | 非公表 | 4万9000台 | 非公表 | 4社 | 3月末の数字 |
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