古都に受け入れられたカーシェアリング――写真で見る京都のプチレンタ神尾寿の時事日想・特別編(1/2 ページ)

» 2008年04月11日 16時36分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 →利用者の中心は30代――日本でも広がるカーシェアリング

 古都、京都。日本の歴史・文化を代表する都市であり、1997年の「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」(通称、京都議定書)によって“環境の時代”を象徴する名前にもなった。

 この京都では、環境にまつわるさまざまなビジネスやサービスが取り組まれているが、その中の1つとして挙げられるのがオリックス自動車のカーシェアリング「プチレンタ」だ。首都圏、名古屋に続く関西最初の導入都市として京都が選ばれており、着実に会員数を伸ばしているという。

カーシェアリングに有利な「京都の事情」とは

 京都におけるプチレンタの会員数は150契約。「ステーション」と呼ばれるクルマが置かれた拠点の数は21カ所で、運用台数は32台だ。規模からいえば、先行する首都圏や名古屋よりは小さいが、「サービス開始が2007年10月からで、大規模な広告宣伝をしていないことを考えると順調な伸び」(オリックスカーシェアリング 京都管理センター長の北山寛弥氏)だという。

 「京都の人たちは新しいモノやサービスを受け入れるのに消極的ですが、カーシェアリングは好意的に受け止めていただいています。まだ認知度は低いですが、(サービスについて)理解していただければ賛同してもらえると思います。現在では会員数も順調に伸びています」

 かくいう彼女は京都の出身で、京都でカーシェアリング事業が計画されていることを知ってオリックスに転職したのだという。「京都で生まれ育った経験から、ここでのカーシェアリングには将来的な可能性があると直感しました」

京都の管理センターは、オリックスレンタカーとプチレンタのステーションが併設された事務所になる。ここではプチレンタの有人受付窓口もある

 なぜ、そう言い切れるのか。北山さんはそこに“京都ならではの事情”があると説明する。

 「京都は街全体が小さくまとまっていて、中心部は慢性的な駐車場不足なんです。駐車場代も高くて、(中心部は)月額平均で4万円前後。マンションの専用駐車場も不足しています。それでいてマンション自体は増えています」

 さらに京都は“駐車場が作りにくい”という歴史的・構造的な問題もある。

 「これは京都の特徴ですが、間口が狭くて奥行きが深い区画が多い。これは『京町家』と呼ばれる住居形式だからです。こういった区画構造だと、大規模な駐車場が作りにくい。また京都には厳しい景観条例がありますから、タワーパーキングや立体駐車場を作る上でも制限があります」

 このように京都は、駐車場の確保が難しく、マイカーの維持にほかの地方都市よりもコストがかかる。さらに住民の環境意識も高く、「環境貢献につながるというカーシェアリングの本質を理解していただくと、好意的に受け入れてもらえる」という。

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