花粉症よりも、黄砂のほうが怖いキャスター・目黒陽子の「今、これが気になる」

» 2008年03月18日 08時00分 公開
[目黒陽子,Business Media 誠]

著者プロフィール:目黒陽子

フリーアナウンサー(ライムライト所属)。大和証券SMBCを経て、資格ファイナンシャルプランナーを取得後、キャスターへ転向。NHK総合「お元気ですか日本列島」、「BSニュース」、日本テレビ系列「ウェークアップ!ぷらす」などを担当し、政治・経済など、情報を伝えることの大切さと難しさを学ぶ。同じくアナウンサーの滝川クリステルは従姉妹にあたる。ブログ:http://www.fpcaster.com/


 先日、駐車場に行くと、車が大変なことになっていました。原因は黄砂です。埃をかぶったように車は真っ白で、まるで10年……いや20年以上乗り続けた車のように見えました。

 仕方なく洗車に出そうとしたら、同じ考えの人が多く、洗車場は満車。愛車がきれいになるまで、ずいぶんと待たされました。しかし単なる砂埃であればまだ我慢もできますが、最近の黄砂は農薬なども含まれていて、体への影響が心配されます。

一体、黄砂って何なの?

 「ようやく暖かくなってきたかな」と思ったら、途端に目がかゆくなり、のどがイガラっぽい。今年は「花粉の量が多い年」だと言われていますし、「花粉症かな?」と思っていましたが、ひょっとして黄砂の影響かもしれません。しかも黄砂と花粉症の“合併症”とでもいうのでしょうか、より強いアレルギーが体に影響するそうです。もしも「花粉症かな?」と思っても、黄砂が原因のアレルギーかもしれませんよ。

 もともと黄砂は中国大陸内陸部の乾燥地域(ゴビ砂漠など)で発生し、風によって巻き上げられた黄砂は偏西風に乗って日本に飛んできます。以前は自然現象だと理解されていましたが、近年では森林減少による環境破壊など、人為的な影響が原因とされています。

 巻き上げられた土壌は、大気汚染物質や農薬などが多く含まれている恐れがあります。黄砂は単なる砂埃ではなく、有害物質ともいえるでしょう。そのため吸い込めば吸い込むほど、体へ及ぼす害が大きくなるのです。

黄砂解説図(気象庁より)

黄砂対策は、花粉症対策より難しい?

 黄砂の粒子の大きさは花粉の10分の1、小さいため中国から簡単に飛んできてしまうのです。たくさんの黄砂が呼吸器系に入り込んでしまうので、気道が敏感な人だと「咳や喘息発作が起きるかもしれない」と言われています。その成分も化学物質や、大気汚染物質、病原体などさまざまなものが含まれている可能性があるため、皮膚の弱い人やアレルギー体質、気管支喘息の人にとっては脅威。

 花粉対策用マスクだと粒子の小さな黄砂は通り抜けてしまうことになり、そのうち「黄砂用マスク」が販売されるかもしれません。対処としては花粉と同じく、マスクや眼鏡をかける、外に洗濯物を干さない、家の中では空気清浄機を設置することなどが考えられます。

 日本に飛んでくる黄砂は、韓国よりは少ないものの、その量は毎年増えています。日本への飛散量は1988年ごろから少しずつ増え、2000年以降急激に増えています。これまで黄砂の観測は目視で行っていたのですが、環境省は今年から、黄砂専用観測機を導入しました。そして「環境省黄砂飛来情報」では、リアルタイムで黄砂の情報が分かります。

 ちなみに韓国では2007年4月、全国単位で黄砂警報を出しています。これによって学校の始業時刻を遅らせたり、時には休校にもなっているそうです。

北京オリンピックを辞退する選手まで!

 2008年の夏はいよいよ北京オリンピックが開かれます。やはり心配されるのが現地の大気汚染。エチオピアのハイレ・ゲブレシラシエは、マラソンの世界記録保持者でありながらも、出場辞退を発表しました。この選手は喘息を患っていて、中国の環境を心配したため、マラソン辞退を決めたようです。日本選手団の健康も心配になりますが、大丈夫なのでしょうか?

 黄砂は国をまたぐ環境問題ですから、各国で協力しながら実態調査や環境対策を早急に行ってほしいものです。黄砂のピークは4〜5月なので、これからは黄砂対策を行う必要がありそうですね。

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