オトク、堅実、デザインなど、ニーズに合ったカードを選べ――誠世代のカード整理術(後編) ライフスタイルに合ったカード選びを考える:

» 2007年12月07日 11時03分 公開
[クレジットカード特集取材班,Business Media 誠]

 クレジットカードとのつきあい方は人それぞれ。前編では“メイン2枚(+サブ1枚)”に絞るべきだということと使いすぎを防ぐテクニックを、中編ではメインカードをどう選ぶか、その考え方を解説した。後編(本記事)ではライフスタイル別に、オススメのカードを紹介する。以下、クレジットカードに何を求めるか、タイプ別にまとめた。

  1. 公共料金など固定費の支払いにだけ使いたい堅実派にオススメのカード
  2. クルマによく乗る人にメリットが大きいカーライフ支援カード
  3. ショッピングでオトクになるカード
  4. ゴールド&プラチナカード級のサービスをオトクに利用できるカード
  5. デザインやブランドにこだわりたい人向けのカード

 なお、本記事は別記事「クレジットカードの基礎知識」に準じてクレジットカードのジャンルを分類している。こちらも併せて読んでいただきたい。

 →クレジットカードのススメ――達人のカード術に学べ!

 →クレジットカードの基礎知識

 →誠世代のカード整理術 (前編)

 →誠世代のカード整理術(中編)

 →誠世代のカード整理術 (後編):本記事

固定費の支払いでお得に使う。堅実派向けの「インフラ系」カード

 日々の生活でクレジットカードを使うことがあまりない。もしくは、使いたくない。読者の中には、そんな人もいるだろう。

 堅実性重視でクレジットカードを選ぶなら、メインカードとしてのお勧めは、ずばり「インフラ系」のカードである。電力会社や通信会社が発行するプロパーや提携カードがこれに当たる。

 インフラ系カードは、電気料金や電話料金など生活にまつわる毎月の固定費の支払いで割引やポイント優待が受けられるのが魅力になる。月々の支払いを口座引き落としからインフラ系カードに切り替えるだけでお得になり、さらに一般カードでは支払い口座指定を条件に年会費無料になるものが多い。クレジットカードは固定費の支払いにしか使わない、といった控えめな使い方でも、“お得”さを享受できるのがメリットだ。むろん、固定費以外の支払いでもカードを使えば、それに応じてポイントが獲得できる。

 インフラ系カードの具体例としては、東京電力の「Switch! Card」やNTTドコモの「DCMX」、KDDIの「KDDI THE CARD」などがある。

 この中で注目なのは「Switch! Card」で、基本1000円/1ポイントのポイントプログラムが、電気料金の支払いでは一般カードで2倍、ゴールドカードで3倍になる。さらに住まいがオール電化の場合には、ポイント付与率は一般カードで通常の4倍、ゴールドカードならば5倍だ。電気以外のガスや水道、新聞や電話料金の支払いでもポイント付与率が2倍と、“公共料金に強い”サービスになっている。Switch! Cardは東京電力の営業エリア在住ならば、メインカードとしてはもちろん、サブカードとして持っても損はないだろう。

東京電力Switch! Card

 一方、ドコモやKDDIのカードは携帯電話料金の支払いで特にポイント優遇されているのが特徴である。また、DCMXではゴールドカード向けの携帯電話の保障サービスを提供しているなど、独自のサービスを行っている。毎月の携帯電話料金の支払額が多い人なら、検討の価値がある。

 このように「インフラ系カード」は派手にカードを使わなくても、堅実にポイントが貯められることがメリットになる。しかし、その一方で、ショッピングや旅行での割引や特典、保障サービスの内容では見劣りするのも事実だ。メインカード2枚目やサブカードは、この弱点を補完する形がいいだろう。具体的には、ショッピングでの割引やポイント付与率が高い流通系カード、ネットショッピングでお得なネット系カードとの組み合わせがお勧めである。

インフラ系カードから1枚目を選ぶなら……

  • 東京電力「Switch! Card」
  • NTTドコモ「DCMX」
  • KDDI「KDDI THE CARD」
  • NTTファイナンス「NTTグループカード」

などが代表例。あまりクレジットカードを使っておらず、支払うのは固定費くらいという堅実派には特にオススメ。


クルマに乗るなら必需品!? カーライフ支援カード

 クルマはお金のかかる乗り物だ。購入時にまとまった資金が必要なのはもちろん、ガソリン代や日々のメンテナンス費用など維持費もバカにならない。マイカー通勤をしているなど、クルマに乗る機会が多い人ならば、家計に占めるクルマ関連の支出はかなりの額になっているはず。

 この“クルマにまつわる支出”での特典やサービスを重視したのが、カーライフ支援カードである。この分野は、ガソリンスタンドブランドがつく「ガソリン系」と、自動車メーカーブランドの「自動車メーカー系」の大きく2つに分けられる。

ガソリン系カードでガソリン代を節約

 まず、前者のガソリン系カードだが、これはずばり“ガソリン代が安くなる”カードだ。割引率はカードによって異なるが、年会費無料カードでガソリン代が1リッターあたり2円前後、年会費がかかる一般カード以上で4円前後の店頭割引になるものが多い。さらに給油はもちろん、そのほかのサービスも含めて特典ポイントが付く。

 ガソリン系カードの中には、出光クレジットの「出光カード」のように前月のカード利用実績に応じて、翌月の割引率が変動するものもある。例えば前月にトータルで5万円のカード利用があれば、翌月のガソリン代は1リッターあたり5円引きになる(最大1リッターあたり30円引き)。さらに出光カードのゴールドでは、ロードサービス※も付帯している。

※ロードサービス…クルマのトラブルに対処するサービス全般のこと。電話サポートやレッカー移動、修理、陸送などが含まれる。クレジットカードの付帯サービスとしては、電話サポートやレッカー車の手配を行うものが多い。また、JAFの有償サービスとなった場合に一定額を補償するものもある。

 このようにガソリン系カードは、“ガソリン代を安くする”上では他のカードよりも大きく有利になる。特に利用実績を反映するタイプのガソリン系カードは、メインカードにしてクルマ関連支出以外の支払いもまとめることで、ガソリン代をかなり安く抑えられる。特にクルマ利用の多い人や、燃費の悪い大型車や高級車に乗っている人などは、ガソリン系カードをメインで使うメリットが大きいはずだ。

“いつも使うガソリンスタンド”が絞り込めない人には自動車メーカー系カードがオススメ

 一方、自動車メーカー系カードは、トヨタやホンダ、日産など自動車ブランドを持つもので、ロードサービスやレンタカー割引などカーライフ支援の特典やサービスが充実している。またガソリン系カードほどではないが、提携ガソリンスタンド利用での割引やポイント増量も行われる。

 例えば、自動車メーカー系カードの代表格であるトヨタファイナンスの「TS CUBIC CARD」では、ロードサービスの付帯はもちろん、エキストラポイントショップとして「JOMO」「ENEOS」「ESSO」「Mobil」といったガソリンスタンドを揃えている。JOMOではポイント増量だけでなく、店頭での1リッターあたり2円引きのサービスも受けられる。さらにTS CUBIC CARDゴールドでは、空港ラウンジで一般的なカードラウンジ※だけでなく、一部空港にトヨタファイナンスの専用ラウンジまで設けている。TS CUBIC CARDの軸足は“カーライフ”だが、その汎用性はかなり高いといえる。

※カードラウンジ…複数のクレジットカード会社が共同で提供するラウンジのこと。各社ゴールドカード以上で利用できるケースが一般的。これに対し、航空会社が自社便搭乗客にのみに提供するものを航空会社ラウンジという。なお、トヨタファイナンスのようにクレジットカード会社が専用ラウンジを設置・維持するケースはめずらしい。

 日常的にクルマを使う人にとって、クルマ関連の支出はかなり多くなるため、その負担を軽減できるガソリン系や自動車メーカー系カードをメインカードにするメリットは大きい。しかし、その一方で、これらのカードが「カーライフ」から外れる領域で弱いのも事実だ。特にガソリン系カードは、一般的なショッピングや海外旅行関連での特典が弱い傾向にある。従って、メインカード1枚目にカーライフ支援カードを据えた場合は、これらの分野を強化できるものと組み合わせるとよい。また“普段はクルマ通勤だが、出張・旅行で新幹線・飛行機もそこそこ使う”という人は、年会費の安い鉄道系や航空系カードを持ってもいいだろう。

カーライフ支援カードを選ぶなら……

  • 出光クレジット 「出光カード」
  • 新日本石油 「ENEOSカード」
  • トヨタファイナンス 「TS CUBIC CARD」
  • 日産フィナンシャルサービス 「日産カード」

などがこの分野の代表例。普段利用するガソリンスタンドが固定の人ならガソリン系、絞り込めない人には自動車メーカー系がオススメ。


“ショッピングでお得”を重視するなら、信販系カードを

 クレジットカードはショッピング利用が中心で、なおかつ「お得さ」がほしい。カード利用におけるポイントや割引などを重視するなら、メインカード1枚目はショッピングに強いお得系カードが最適となる。

 この分野でまっ先に思い浮かぶのは、流通・小売系カードだろう。百貨店や流通グループ、特定の店舗チェーンが発行する提携カードは、「そのお店での買い物」で、割引やポイント優遇など様々な優待がつく。そのため買い物でよく利用する店舗なら、年会費以上の割引を受けて“元を取る”こともできる。しかし、その一方で、流通・小売り系カードは発行店舗以外での利用ではお得にならず、汎用性は低い。メインカード1枚目ではなく、メインカード2枚目やサブカードにした方が使いやすい面がある。

 メインカード1枚目として使い、なおかつ「お得さ」を重視するなら、お勧めは「信販系カード」だ。代表的なものは、ライフカードやオリコカード、ポケットカード(P-oneカード)などである。これらのカードは通常のショッピングで付与されるポイントが他分野のクレジットカードより高く、しかも利用場所を選ばずにたまる。獲得したポイントはキャッシュバックしたり、航空会社のマイレージや他社ポイントと交換できる。

 信販系カードは日常的なショッピング利用で使い勝手がよく、ゴールドカードを選べば空港ラウンジ利用や海外トラベルデスクなど、基本的なT&Eサービスも受けられる。汎用性という点では、銀行系や大手クレジットカード会社のプロパーカードに準じる。そのためクレジットカード2枚目やサブカードで組み合わせるのは、用途がはっきりした機能特化型カードになるだろう。具体的には航空や鉄道、ガソリンなど交通系全般、流通・小売り、ネットショッピング系のカードなどだ。前述のインフラ系カードを組み合わせて、生活全般のコスト削減につなげるというのもアリだろう。

ショッピング利用が中心で、汎用的に使えるカードを選ぶなら……

  • ライフカード 「ライフカード」
  • オリコカード 「オリコカード」
  • ポケットカード 「P-oneカード」
  • アイワイカードサービス 「アイワイカード」(流通系)

などが代表例。特定の店でだけ使いたいというニーズがあれば流通・小売系の提携カードは特典が厚いが、幅広くさまざまな店舗で使うなら汎用的に使える信販系がオススメだ。


カードはコストパフォーマンス重視! 割安感のある穴馬的カード

 クレジットカードの基本は「年会費が上がるほど、サービスや特典のレベルも上がる」である。しかし、世の中には比較的やすい年会費ながら、特定のサービスで他社のゴールドやプラチナに匹敵する内容のカードもある。ここでは、それら“コストパフォーマンスの高いカード”を紹介しよう。

GONZOゴールドカード

 まず、上級カードの基本サービスである「空港ラウンジの利用」を見てみよう。これは一般的に年会費1万円前後からのゴールドカードからのサービスであり、割安な信販系ゴールドカードでも年会費5000円前後となる。しかし、アニメコンテンツ制作会社GONZOの発行するDC提携カード「GONZOゴールドカード」は、年会費無料ながら主要空港のラウンジが利用できる。“ゴールドカードの必要性をあまり感じないが、空港ラウンジだけは使いたい”といった人にとっては、検討する価値があるカードだ。

楽天プレミアムカード

 さらに、世界中の空港ラウンジが使える「プライオリティ・パス」。これは一般的にゴールドカード以上の“プラチナカード”の付帯サービスであり、対応カードには、アメリカンエキスプレス・プラチナやダイナース・プレミアム、JCB THE CLASSなど年会費10万円前後のものがずらりと並ぶ。20〜30代のビジネスパーソンには手を出しづらいカードばかりだ。しかし、楽天カードの発行する「楽天プレミアムカード」は、年会費1万500円と一般的なゴールドカード程度の年会費で、プライオリティ・パスに無料登録できる。海外も含めた空港ラウンジ利用を重視するなら、年会費が最安になるカードといえる。

セゾン・プラチナ・アメリカンエキスプレスカード

 ほかにもT&E分野では、セゾンの「セゾン・プラチナ・アメリカンエキスプレスカード」のコストパフォーマンスがすこぶる高い。年会費は2万1000円だが、プライオリティ・パスの付与、海外で有名なレンタカー会社「Herts」(ハーツ)のゴールド会員資格、豊富なホテル・レストランの優待サービスに、コンシェルジェサービスまでついてくる。ゴールドカードレベルの会費ながら、T&E分野のサービス内容は他社のプラチナカード級だ。かなりお得なカードの1つといえる。

格安の会費で、ゴールドカードやプラチナカードクラスの特典を利用したいなら……

  • GONZO 「GONZOゴールドカード」
  • 楽天カード 「楽天プレミアムカード」
  • セゾン 「セゾン・プラチナ・アメリカンエキスプレスカード」

などが代表例。


番外編: デザインで選ぶユニークなカード

 ここまでクレジットカードの機能やサービスをもとに、利用スタイルごとにお勧めのカードや組み合わせを紹介してきた。しかし、人前で出すこともあるクレジットカード。“機能だけ”で選ぶのは少々つまらない。そこで、ここではデザインや希少性のあるユニークなカードをいくつか見てみよう。

 まず最初に紹介するのが、新生銀行のクレジットカード「新生VISAカード」だ。これは銀行系カードの一種であり、機能やサービスに際立った特徴はない。しかしユニークなのが“カードの色”である。新生VISAカードでは、券面の色が32色から選べるのだ。カードのデザイン自体はシンプルで、色で遊べるというコンセプトが新しい。自分の好きな“マイカラー”がある人は、そのこだわりをクレジットカードにも反映させてもいいだろう。

32色から選べる新生VISAカード

 色ではなく、カードの「素材」にこだわったのが、SBIカードの「SBI CARD」だ。このカードは、カード素材が一般的な樹脂ではない。レギュラーカードは「国内産真珠」、ゴールドカードは「純金(24K)」、プラチナカードは「純プラチナ」を使っているのだ。デートや合コンでの話題性は十分である。これだけ高級素材を使っていながら、年会費は他社のゴールドやプラチナよりも安めなのもうれしいところ。なおSBIカードプラチナは、年会費が3万1500円と安めながらプライオリティ・パスが付くなど、サービス面でのコストパフォーマンスも高い。

SBIカード。左からレギュラー、ゴールド、プラチナカード

 一方、取得のハードルは高くなるが、デザインが良くて高級感・希少性があるのが高級車ブランドのクレジットカードだ。この分野では、トヨタファイナンスの発行する「レクサスカード」、シティカードが発行する「ジャガー・ダイナースクラブ・プレミアムカード」が代表格。前者はレクサス、後者はジャガーのオーナーであることが取得の条件で、発行されるカードは“プラチナ”のみ。高級ホテルやレストランで出せば、かなりインパクトがあるカードであることは間違いない。なお、これ以外にも、「ポルシェカード」や「BMWカード」などがあり、それぞれのブランドファンには人気がある。

左からレクサスカード、ジャガー・ダイナースクラブ・プレミアムカード、ポルシェカード

デザインやブランド重視で選ぶなら……

  • 新生銀行 「新生VISAカード」
  • SBIカード 「SBI CARD」
  • トヨタファイナンス 「レクサスカード」
  • ジャガー/シティカード 「ジャガー・ダイナースクラブ・プレミアムカード」

などが代表例。高級車ブランドのカードは、その自動車のオーナーだけが保有できるものだ。


 さて、3回にわたり、クレジットカードの整理術や、スタイル別にお勧めの分野・カードを紹介してきた。クレジットカードの種類は多種多様であり、そしてライフスタイルも千差万別。すべてのパターンが網羅できたとは思わないが、読者の皆さんの参考になれば幸いである。

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