WAON発行数が急増した理由は――FeliCa決済利用状況(9月版)一番使われているFeliCa電子マネーは?

» 2007年09月28日 20時30分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 コンビニにおけるFeliCa電子マネー導入が急速に進んだ2007年の夏。使える場所が広がったのとともに、重要なのが複数の決済方式に対応した店舗が増えたことだ。ローソンでは全店舗でEdy、iD、QUICPayの3方式が使えるし(8月21日の記事参照)、すでに全店でiDとEdyが使えるファミリーマートは、首都圏の店舗ではSuica/PASMOを導入した(7月10日の記事参照)。このほか、EdyとiDを導入済みのam/pmは東急電鉄と業務提携、2008年1月からPASMO/Suicaの導入が決まっている(7月12日の記事参照)

 3方式以上に対応している店舗はまだ少ないが、2方式に対応した共用端末は着実に増えている。iD+Edy、QUICPay+Edyなど、ポストペイとプリペイドの両方に対応した共用端末を導入するケースが多いようだ(7月14日の記事参照)

 また9月10日には、カード不足のため販売を中断していたPASMOが5カ月ぶりに発売再開された(9月10日の記事参照)。9月29日からは、オートチャージ機能付きPASMOの申し込みも再開する。本記事で示すのは、プリペイド電子マネーが8月末、ポストペイが6月〜8月末の数字となっており、PASMO販売再開よりも前のデータとなる。以下、各社が発表しているFeliCa決済の最新データについて、プリペイド型電子マネーとポストペイFeliCa決済に分けてまとめた。

 →電子マネー、利用回数No.1はnanaco―7月FeliCa決済利用状況

 →ICOCAの発行枚数、300万枚を突破――FeliCa決済利用状況(8月版)

WAONの発行枚数が急増した理由

 以下の表では、FeliCaを利用した決済方式のうち、電子マネー(前払いでお金をチャージし、そこから減算して利用する)の利用状況をまとめている。いずれも8月末時点の数字だ。

 発行数が最も多いのはビットワレットのEdyで3270万。おサイフケータイユーザー数(630万)も最多で、こちらも先月と変わらずだ。先月はそれぞれ3190万、610万だったので順調に増やしているといえる。

 気になるのが、WAONの発行枚数の伸び。7月調査時は30万、8月調査時は40万だったものが、今月は70万と急増している。伸びている理由は、「イオンカード(WAON一体型)※」が増えたためだ。WAONのカードには3種類あり、イオンカード(WAON一体型)は、クレジットカード(イオンカード)にFeliCaチップを載せたタイプである。

 イオンカード(WAON一体型)では、クレジットカードからWAONへチャージして使うようになっている。イオンに問い合わせたところ、「イオンカードユーザーがカードを更新するとき、イオンカード(WAON一体型)への切り替えを勧めており、切り替えが順調に進んでいるため」との回答を得た。カードの種類を指定せずにそのままイオンカードを更新するとWAON一体型のカードになるそうなので、発行枚数は当分右肩上がりになると思われる。

 1カ月間の利用件数が最も多いのは、先月と変わらず、セブン-イレブンで利用できる「nanaco」。8月の月間利用回数は3300万件で、7月の3400万件から100万件減っている。「お盆休みなどで微減したのだと思う」(セブン&アイホールディングス広報部)。

 なお、nanacoのおサイフケータイ向けサービスは当初NTTドコモとau向けだけで始まったが、9月12日からはソフトバンクモバイルのおサイフケータイにも対応している(9月10日の記事参照)。10月1日からは、限定コラボモデル「nanacoケータイ(fanfun. 815T nanacoモデル)」などが当たるキャンペーンを展開予定だ(9月27日の記事参照)

 利用件数で注目したいのはEdyとSuicaだ。これまで利用件数で3番手だったSuica電子マネーが、2番手のEdyにほぼ並んだ。

サービス名 事業者名 発行枚数(おサイフケータイ分) 利用可能店舗数 リーダー/ライター台数 8月の月間利用件数 いつ時点の数字か 備考(※)
Edy ビットワレット 3270万枚(610万) 6万8000店 非公表 2000万件超 8月末
ICOCA JR西日本 305万枚(なし) 272店 非公表 34万5000件 8月末 店舗数は7月末の数字
nanaco セブン&アイHLDGS 457万枚(46万) 1万1848店 推定3万6960台 3300万件 8月末 R/W台数は店舗数×2を目安に計算
PASMO PASMO協議会加盟事業者 452万枚(なし) 2083店 2336台 231万件 8月31日 相互利用できるSuicaの加盟店を加えると1万9630店、3万2440台
Suica JR東日本 1854万枚※(62万) 1万9990店 3万4380台 2000万件 8月末 相互利用できるPASMOの加盟店を加えると2万1780店、3万6420台
WAON イオン 70万枚 4700店 非公表 非公表 8月20日 利用可能店舗は関東中心
初出時、Suicaの発行枚数として、PASMOとSuicaを合わせた枚数を記載していました。訂正いたします。

非接触ICポストペイ(後払い式、クレジットカード系)

 下表では、後払い式のFeliCa決済サービスの利用状況をまとめた。こちらはPiTaPaのみ8月末数字、iDとQUICPayは7月末の数字、VISA TOUCH/スマートプラスは6月末の数字となっている。なお、VISA TOUCH/スマートプラスは3カ月ごとに集計を行っているので、9月調査時には新しい数字を掲載できるはずだ。

 ポストペイについては先月とあまり変化はないが、iDの発行会社が57社と、前回調査時より2社増えている。今回iDの発行会社として新しく追加されたのは、群馬銀行と東邦銀行の2社となる。

サービス名 事業者名 会員数(おサイフケータイ分) 利用可能店舗数 リーダー/ライター台数 6月の月間利用件数 発行会社数 備考
iD NTTドコモ、三井住友カード他 365万人(285万人) 非公表 17万台 非公表 57社 7月末数字。おサイフケータイユーザーはDCMX/DCMX miniユーザー数より推定
PiTaPa スルッとKANSAI 79万人 1万6000店超 推定1万6000台超 2700万件(電子マネー+交通利用※) 12社 8月末数字。電子マネーのみの利用件数は非公表、発行会社数は提携カード発行11社+スルッとKANSAI
QUICPay JCB、トヨタファイナンス他 265万人(非公表※) 非公表 6万3000台 非公表 14社 7月末数字。会員数のうちおサイフケータイ利用者の割合は推定2〜3割
VISATOUCH
スマートプラス
三菱UFJニコス※ 22万枚(推定11万) 非公表 1万5000台 非公表 2社※ 6月末数字。会員数などは三菱UFJニコスの発表数。このほかOMCカードもVISA TOUCHを扱っている

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