やっぱり値上げだよね――首都高速の新料金 誠 Weekly Access Top10(2007年9月18日〜9月24日):

» 2007年09月27日 21時03分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「値上げって言わないで――首都高速、新料金体系の意図は?」。2008年秋から導入される見込みの新料金体系について、首都高速道路の“言い分”をまとめた記事だ。

 タイトルには「値上げって言わないで」と付けたものの、記事を書いた本人である記者も、これは値上げ以外何物でもないと思う。新料金で値下げになる条件は「短距離利用」かつ「ETC利用」と部分的だ。しかもETCの設置は自己負担である。現在、現金で700円支払っているところが最大1200円になるわけで、こういう行為は「500円の値上げ」と呼ぶのが普通だろう。長く不景気が続きデフレ傾向にあるニッポンで、71.4%の値上げは相当強烈なインパクトがある。

 また、短距離利用について首都高速道路の広報担当者は「首都高のネットワークが広がってきて、距離も延びているため、『首都高に乗ってから、思ったよりも混雑しているのでいったん降りて、混雑している区間を抜けたら再度首都高に乗る』といった使い方がしやすくなる」と説明していたが、その場合2回乗ることになる。2回とも最短距離の3キロメートル以内だとしても800円と現在の700円より高くなる。本当にそういう使い方を推進したいのであれば、混雑のためにいったん降りた場合は、初回の利用料金で再度首都高を利用できるようにするべきではないか。せめて2回足して1回分の利用料金になるようにするのが筋だろう。

 記事でも触れたように、この新料金案は「意見募集案」であり、決定したものではない。首都高速道路では9月21日から10月31日まで意見を募集し、その意見を反映させた申請案を2008年春までにまとめ、2008年秋から距離別料金への移行を目指すとしている。

 現在首都高速道路では、新料金についてのアンケートを行っており、意見を募集している。以下は、そのアンケートの設問だ。

Q2 首都高の料金は、民営化から45年以内に必要な費用を返済することが前提となっておりますが、今回提示した初乗り料金−上限料金の案(例えば東京線で普通車400円−1200円)についてどのように思われましたか?

 1.適切である

 2.返済を考えればやむをえない

 3.もっと引き下げるべき

Q3 渋滞解消や環境改善を図るために割引を新設・拡充することについてどう思われますか。

 1.割引の新設・拡充が望ましい

 2.割引の新設・拡充の必要はない

Q4 (Q3で「割引の新設・拡充が望ましい」と答えた方にお聞きします)どのような割引が渋滞解消や環境改善に効果的と思われますか?(複数回答可)

 1.他の料金圏や他の高速道路と連続して利用する場合の割引の実施

 2.都心部の混雑を避けて中央環状線に迂回した場合の割引の実施

 3.利用時間帯に応じた割引率の見直し

 4.その他の割引

Q5 料金懇談会からの課題として「公的負担」により環境の改善、地域の活性化等社会的効用をより大きくする料金水準を目指すべきという意見が出ましたが、どのように思われましたか。

 1.首都高の高い公共性を踏まえ、渋滞緩和による環境改善や物流効率化を実現できるよう、公的負担により、更に引き下げる必要がある

 2.料金引き下げのための公的負担は不要

 3.その他

Q6 上記以外にも距離別料金に関するご意見があればお聞かせください(1000文字以内)。


 確かに意見を募集している項目もあるのだが、「新料金を導入する上で、何か意見はありませんか?」というスタンスなのだ。

 ちょうど今、Yahoo!ニュースで「首都高の新料金案に賛成? 反対?」という意識調査を行っているが、27日17時半の時点で、反対が実に75%。賛成が20%、「分からない」が7%になっている。

 利用者の意見をネットで募集するのは良いことだと思うが、前提として、新料金の導入がすでに決定路線になっているところはいかがなものか。全体の4分3が反対している案は、差し戻して案の出し直しをするのが普通だと思うのだが。

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