場所は、東京・表参道の日本茶専門店。「どうぞ、飲んでみてください」と試飲用の小さなグラスを差し出された記者たちは、神妙な面持ちでグラスを口に運ぶ。……「おいし〜い!」「ビックリした。甘いですねえ」「これは、ペットボトルのお茶は飲めなくなるなあ……」
飲んでいるのは、冷たい煎茶「ロック DE お茶」。通常、冷煎茶は水の中にティーバッグを入れ「水出し」で作ることが多いが、ロック DE お茶は熱いお茶を氷で急冷して作る。水出し冷煎茶がすっきりした味わいなのに対し、ロック DE お茶はお茶の旨みや甘味が強く出ており、非常に飲み応えがあるのが特徴だ。
いわば煎茶の“新しい飲み方”であるロック DE お茶のキャンペーンが、4月からスタートする。「給茶スポット」にマイボトル(水筒)を持参すると、ロック DE お茶を有料で入れてもらえる。給茶スポットを提供するのは、全国130店舗の日本茶専門店。日本茶カフェだけでなく、茶葉の販売を専門にしているお店でも、給茶サービスを行い、今後も給茶スポットを増やしていくという(参照リンク)。
ロック DE お茶は家庭で入れるのも簡単だ。1人分を入れる手順は以下の通り。
ポイントは、深蒸し茶など濃いめに出る茶葉を選ぶことと、通常より長めに蒸らし、濃いめに出すこと、煎茶に適した80℃のお湯で入れることだ。温かく入れたお茶をそのまま冷ますと風味が飛んでしまうが、氷で急冷することによりおいしく飲めるのだ。
水筒(ステンレスボトルなど)に氷を入れて、その上から直接お茶を入れれば、そのまま持ち出せる。温かいお茶をステンレスボトルで保存すると変色してしまうが、急冷すればその心配もない。ロック DE お茶は“ステンレスボトルに入れて持ち歩く”のに非常に適した飲み方だといえる。
このキャンペーンの主体となっているのは、全茶連(全国茶商工業協同組合連合会)と象印マホービン。「給茶スポットでロック DE お茶のおいしさを覚えてもらい、そのあとは家庭でもお茶を入れるようになってくれるのでは。マイボトルを持ち歩くライフスタイルも徐々に定着していってほしい」と、キャンペーンの広がりに期待する。
全茶連の狙いは、“冷やして飲む”スタイルを定着させ、日本茶の茶葉消費量を引き上げることにある。一般家庭における日本茶の茶葉消費量は、年々減少傾向にある。しかし日本人がお茶を飲まなくなったわけではなく、ペットボトル飲料では、日本茶の販売は好調だ。「茶葉から入れるお茶を楽しむ人が増えてほしい。また冷やして飲むとおいしい、ということも伝えていきたい」(愛国製茶社長の馬場章夫氏)
一方、象印マホービンは「象印のボトルじゃなくちゃダメ、なんて言う気は全くありません。持っているものをそのまま使っていただければ」と話す。「水筒を持ち歩き、好きなものを好きなところで飲めるライフスタイルを啓発したい。容器をゴミにして捨ててしまうのに比べ、もちろん環境にもいい」(広報部)
実は同社では、ロック DE お茶より前から“マイボトルで「どこでもカフェ」”というキャンペーンを展開している。6地域20店舗のカフェに給茶スポットになってもらい、マイボトルを持参したお客には、カフェで出しているドリンクをボトルに入れて提供するというもの。ロック DE お茶キャンペーンは、どこでもカフェよりもさらに給茶スポットを増やす、という意図もある。
キャンペーンの仕掛人である象印マホービン営業企画部の樋川潤氏は、環境意識に加えてもう一つ、“食育”も大きな目的だと話す。食育とは、食に関する知識を、実際の経験を通じて身につけ、健全な食生活を実践できる人間を育てることを指す。「会社に入ってきた新人にお茶を入れさせると、湯飲みを温めておいたお湯を飲もうとしたり、急須の中のお茶を均等に注ぎ分けず、1つ1つの湯飲みに順番に注いだり(濃さが均等にならない)するんです。家庭でお茶を入れる習慣がなくなってきているんだなあと考えさせられまして……。お茶という、非常に身近なものからでも、食育のきっかけになれば」(樋川氏)
給茶スポットは、“ステンレスボトルの日”の4月10日から全国の130店舗の日本茶専門店でスタートする。対応店舗は公式サイトで検索できる。給茶の値段は店によって異なり、100円台〜となる模様。
なお、「表参道 Tea-Tsu」では先行して4月6日から給茶サービスを開始し、ロック DE お茶を280円で提供する。また先着100名に、給茶サービス付きの象印ステンレスボトル(「タフマグ」と「タフスリム」、360ミリリットルサイズ)を1000円で提供する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング