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新鮮な野菜・肉・魚介の味がひとつの鍋に凝縮 ちゃんこ鍋 01
30年間味を守り続けた伝統のちゃんこ

相撲文化発祥の地・両国、友綱部屋の跡地に立てられたのが、このちゃんこ「巴潟」である。「巴潟」は昭和10年代に活躍した(最高位・小結)、函館出身の力士の四股名。小兵ながらも、スピード感溢れる動きで「弾丸」と謳われる人気力士で、その後九代目友綱部屋を襲名した。そして相撲協会退職後に開いたのがこの店である。現在、両国のちゃんこ料理屋は数多くあるが、その中でも屈指の人気店として連日の賑わいを見せている。
今年の10月で開店から30年を迎えるこの店は、なんと当時から鍋のメニューは変わっていないという。鍋のメニューは全部で4種類。牛肉と鶏肉がたっぷり入った醤油味のちゃんこ「太刀山ちゃんこ」。たっぷりの魚介を京都の赤味噌、仙台の赤味噌、信州の白味噌をブレンドした味噌でいただく「巴潟ちゃんこ」。魚介をさっぱりとポン酢で食べる「矢筈山ちゃんこ」。そして、今回紹介する、この店で一番人気の高い塩ちゃんこの「国見山ちゃんこ」である。

巴潟
16種類の新鮮な具材を6時間煮込んだ鶏ガラスープで
国見山ちゃんこ

「国見山ちゃんこ」は鶏ガラベースの塩味のスープに、新鮮な野菜、肉、魚介をぎっしり詰め込んだちゃんこだ。スープは、毎朝6時から脂分を丁寧に洗った生のガラを6時間かけてじっくりと煮込み丹念にアクをとったもので、自然な優しさの中の、しっかりと滋味深い味が印象的。食事の最後まで楽しめる味わいだ。
このスープの中になんと計16種類の具材を投入する。豆腐に、こんにゃく、油揚げ、肉は国産の牛肉と鶏肉、野菜は白菜、えのき、ごぼう、たまねぎ、椎茸、水菜。そして魚介は、はまぐり、ほたて、鮭、メカジキなどその季節の旬なものを使用。そして、この鍋のメインとなるのが毎朝、築地で仕入れてくる新鮮な鰯を使った自家製の鰯のつみれである。大きなすり鉢で、丁寧に頭と骨をとった新鮮な鰯の身をすりながら、醤油などで味付けをしていく。このつみれのために1日30kgもの鰯を使用するそうだ。

すべて食材の味が凝縮され、さらにスープが絶品に

スープが温まってきたら、えのき、水菜、肉以外の食材を鍋にいれていき、最後に残りの食材を加えて完成。それぞれ取り分けた器に、好みで、テーブルですり下ろしたゴマを入れて食べる。すべての食材の味が、塩スープの中で見事に融和しあっていて、どんどんスープの美味しさが増していく。また、優しいが実にしっかりした、新鮮な鰯ならではのつみれの味がたまらない。肉が好きな人には追加オーダーでで「特選和牛(横綱)」がオススメ。仙台の黒毛和牛の霜降り肉を、サッと、しゃぶしゃぶのようにしていただくと、肉の旨みが存分に味わえる。残りのスープはもちろん、雑炊やうどんで残らず堪能したい。ちなみに塩ちゃんこでのシメのオススメは雑炊だ。

国見山ちゃんこ (1人前 2940円)

特選和牛(横綱)