カスタマイズ性で甦るNikon F-コデラ的-Slow-Life-

» 2009年03月03日 10時00分 公開
[小寺信良,ITmedia]

photo ファインダの革をはがして分解開始

 ホコリだらけのNikon F。まずは一番気になるプリズムの具合を確認してみたい。分解はトップの革を剥がして、4つのネジを外す必要がある。もともと革は張り替える予定だったので、惜しくはない。

 Nikon Fの特徴であるとんがり屋根の部分を開けると、ファインダ部分への光漏れをカバーしていたと思われるモルトが腐食し、このカビがプリズムの銀面を剥離させてしまったようである。これさえなければ、多くのカメラが今もなお普通に使えたことだろう。本当にモルトという素材は、罪作りだ。


photo 案の定、モルトの腐食による蒸着剥離だった

 ファインダとしては、腐食の影が出るぐらいで使えなくはないのだが、やはり視野に常時汚れが見えるのは創作意欲を減退させる。これは銀面を綺麗にはがして、そのうち銀面蒸着などをやってみることにしよう。

 幸いなことに、Nikon Fのファインダは中古カメラ店でもそこそこ手に入る。だがプリズムに腐食のないアイレベルファインダだと、3万円ぐらいする。なんと、本体よりも高いのだ。また前期と後期で若干構造が違うこともあって、すべてのファインダで互換性があるわけではない。


photo 購入したウエストレベルファインダ。ただの枠と言うなかれ

 そこで多少価格の安い、ウエストレベルファインダを7000円で購入した。なんのことはない、要するにスクリーンをそのままのぞき込むだけの、言うなればただの素通しの枠である。こんなものが7000円かよという意見はもっともだが、とにかくF用のアクセサリはなんでも高いのである。だがこれでスクリーンを保護できるし、一応マグニファイレンズも付いている。Nikkorレンズをウエストレベルで撮るというのも、なかなか面白そうだ。

ほとんど修理いらずのボディ


photo ボディの革は全部剥がして張り替え

 ボディの革は同じく綺麗に剥がして、以前の修理で使った革の残りを使って補修することにした。


photo ミラーは拭いただけで綺麗になった

 ミラー周りはレンズクリーナーで拭いたら、まったく問題ないレベルにまで綺麗になった。幸いにしてこちらは、ただ汚れていただけだったようだ。モルトもきれいにはがして張り直しである。気になったシャッター幕のカビも、アルコールで拭いたらまあ問題ないレベルにまで綺麗になった。破れたり穴が空いたりしていなかったのが救いである。


photo 格安で入手したExtention Tube

 フィルムカウンターはイモネジで3カ所留まっているだけなので、簡単に掃除できた。やはり昔のカメラはネジを隠したり、飾りネジを使ったりしていないので、メンテナンスが非常に楽である。


photo ちょっとレトロスタイルになったNikon F

 実はNikon用のレンズは、結構持っている。以前Nikomat FTNを修理したことがあって、そのときに中古レンズを5本ぐらい買いそろえていたのだ。またマクロ用のExtention Tubeも、ジャンク屋で偶然見つけた。3つセットで2000円と、格安であった。FマウントのExtention Tubeはいまだに新品が流通しているが、普通は1段で5000円ぐらいである。

 全部装着すると、かなり無骨な感じになった。EXAKTAとはまた違う感じの、メカニカルさである。さて、どんな使い勝手になっただろうか。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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