「スピード・レーサー」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年07月01日 09時45分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo (C)2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 「マッハGoGoGo」と聞けば、30、40代の方なら「おぉっ」と思われるかもしれない。タツノコプロが1967年に世に送り出したアニメーションは、はるばるアメリカに渡り「スピード・レーサー」と改題され、放映された。本作はそのハリウッド実写版。メガホンをとったのは、日本アニメのオタクとして知られる「マトリックス」3部作のラリー&アンディ・ウォシャウスキー監督だ。

 レーシング・チームを営む一家に生まれたスピード・レーサー(エミール・ハーシュ)は、幼少の頃から頭の中は車とレースのことだけ。天才レーサーであり、大好きだった兄の事故死がトラウマとなるが、自らもレーサーの道へ進む。

 抜群のドライビング・センスを持つスピードは、地元のサーキットで優勝。そんな彼に目をつけたのが、一流ドライバーを擁し、レース界を牛耳るローヤルトン(ロジャー・アラム)だった。自社のチームに引き入れようと、破格の待遇と契約金をチラつかせるが、スピードはこれを断ってしまう。激怒したローヤルトンは八百長レースの存在を暴露し、レーサー一家を潰すと脅迫、さまざまな妨害工作を仕掛ける。スピードは、ローヤルトンとマフィアの悪事を暴こうとする謎の覆面レーサー(マシュー・フォックス)と組み、グランプリ優勝を目指すが……。

 この映画のキモは何か? 主人公スピードの弟とチンパンジーの凸凹コンビがストーリーをかき回すあたり、お子さま向けの印象は拭えない。「マトリックス」のノリを期待するとガッカリだし、真田広之やRain(ピ)といったアジアのスターが出演していることも目玉とは言えない。「マッハGoGoGo」の実写版ということすら、忘れても構わない気がする。

 大切なのは、CGを「これでもか!」と駆使したレースシーンだ。カラフルでポップな色の洪水の中、目にも留まらぬスピードで疾走する車、まるで生き物のように立体的に交差するサーキットに大興奮。まさにコミックから飛び出したような“弾けっぷり”で、文句なしに楽しめる。室内アトラクションで遊ぶ、そんな感覚で劇場に足を運ぶのも大いにアリな作品だ。

photophoto (C)2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

スピード・レーサー

監督・製作・脚本:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー

出演:エミール・ハーシュ、クリスティーナ・リッチ、ジョン・グッドマン、スーザン・サランドン、ロジャー・アラム、マシュー・フォックス

配給:ワーナー・ブラザース

7月5日よりサロンパス ルーブル丸の内ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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