“PCにEdyを載せる”プロジェクト、半年経った今、現状と課題は……? (1/2 ページ)

» 2006年12月07日 18時53分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 インテル、ビットワレット、マイクロソフトは12月7日、3社が進めている「スマートデジタルライフ推進プロジェクト」について、進捗状況を説明するとともに、12月から開始する実証実験について発表した。

 スマートデジタルライフ推進プロジェクトは、非接触IC技術「FeliCa」と電子マネー「Edy」による個人認証やEC(電子商取引)の普及を目指す3社の共同プロジェクトだ。(1)FeliCaリーダー/ライターのPCなどへの標準搭載や外付け機器の普及促進、(2)個人認証・決済手段として、Edyを採用する事業者を増やす(PCサイト)(3)ユーザーの認知・利用を促進といった3つの目標に向け、1年間それぞれの立場で活動を行う、としていた(6月13日の記事参照)

対応サービス数は半年で目標クリア、搭載PC出荷台数と取引高も成長中

 6月に同プロジェクトがスタートしたとき、3社が掲げていた具体的な目標は以下の通りだ。

  1. FeliCa対応のオンラインサービス(ネットショップなど)を現在の2倍に増加
  2. FeliCaリーダー/ライター搭載PC、及び外付けリーダー/ライターの数を現在の3倍に増加
  3. FeliCa決済によるオンライン取引高を現在の2倍に増加

 FeliCaを利用する決済方式は複数あるが、このプロジェクトではFeliCa対応のサービス、決済といった場合は、ビットワレットが運営する電子マネーEdyとほぼ同義となる。

 4月末の時点で、FeliCa(Edy)対応サイトは約1400。6月にプロジェクトが発足して約半年が経った現在(12月初頭)、対応サイト数は約3000まで増加、約半年で目標の2倍を達成したことになる。2007年春には1万サイトが対応予定だ。

 また、FeliCa対応のリーダー/ライターを搭載したPCも増えている、とする。インテルによれば、2005年6月から2006年6月の1年間に、FeliCa用リーダー/ライターを内蔵したPCの出荷台数は約100万台。目標ではこれを2007年6月までの1年間で300万台に伸ばすことになっている。2006年6月から12月頭までに出荷した対応PCの出荷台数は約75万台。目標値の約25%だが、「これから冬と春にPCは大きな商戦期を迎える(ので、目標値は達成できるだろう)。また来年1月30日からはVistaが発売され、Vista搭載PC(の登場)で出荷が加速するだろうという期待もある」(インテル)と、楽観的な見通しだ。

 3つめの目標であるオンライン取引高だが、これは現状で、取引高の総額が明らかになっていない。Edyのオンライン取引高は現在、目標の200%のうち160%まで達しているという。ビットワレットでは10月より、ネットでEdy決済を利用すると、5%分をEdyギフトで還元するキャンペーンを行っていることもあり、オンラインでのEdy決済件数は半年間で約20%増加したという。

単月利用件数1500万件、年間利用件数1億3000万件を超えるEdyだが、このうちオンラインでの購入に利用される件数は1割にも満たない

シニア層にEdyを使ったネット決済を広げたい

 インテルは本プロジェクトの一環として、シニア層をターゲットとする実証実験を行う。発表会では、その実証実験についても明らかになった。

 実験は、インターネットによるサービス利用に興味があるユーザーに、タッチパネルによる操作が可能なFeliCaポート内蔵のPCを貸与し、オンライン決済を体験してもらうという内容。40〜60代のPCの操作に習熟していないユーザーを対象としており、12月8日から2007年3月7日まで、埼玉県川口市のマンション30世帯で行われる。

 貸与されるのは、Core 2 Duoを搭載したFeliCaポート内蔵のノートPCで、OSはWindows Vistaの評価版がインストールされている。タッチパネルを外付けしており、電源を入れると、タッチパネルに対応した専用のポータルが立ち上がる。ポータルは銀行のATM風の大きなボタンで操作できるようになっており、Edyに対応した各種ネットショップや、地域情報へのリンクが貼られているというもの。

 目的は、現在PCを持っていないシニア層にもPCを所有してもらうことにある。インテルは、実証実験で得たユーザーの声をフィードバックして、「シニア向けPC」の仕様を固めていく意向だ。

photo 実証実験で貸与される、シニアの利用を想定したPC。TabletPCではなく、タッチパネルを外付けしている
photophoto タッチパネル+大型ボタンで、PCに不慣れな人にも操作しやすいポータル画面。しかし本当にシニア・シルバー層を新規顧客として開拓するなら「デジタルコンテンツ」などのカタカナ語を一掃する覚悟が必要では
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