RFIDリーダーを内蔵した携帯電話が、実用化に向けて動き始めた。KDDI、沖電気、イナゴの3社は、RFIDリーダー内蔵の携帯電話を使った実証実験を、埼玉県の大型ショッピングモール「ステラモール」で行う。
KDDIが開発したRFIDリーダー内蔵携帯試作機(3月2日の記事参照)と、沖電気とイナゴが開発した携帯エージェントシステム、沖電気が開発したマルチサービスシステム(コンテンツ配信サーバ)を組み合わせた。3月24日から10日間行われる実験では、RFIDタグを用いた情報提供サービスの有効性を検証する。
外部の“モノ”から携帯電話が情報を読み取る仕組みは、既にカメラを使ったQRコードや、非接触ICチップ「FeliCa」などが実用化されている。しかし今回は、流通業界などで採用が進むRFIDと携帯を組み合わせることで、業務用からコンシューマ用への広がりを期待する。
RFID携帯の商用化についてKDDIは、「実証実験の声を聞いてから」とするが、非接触サービスの1つとして、秋から導入が決まっているFeliCaと並行して採用を検討していく方針だ。
実験では、RFID自信が電波を発し、RFIDリーダーを備えた携帯電話がそれを読み取る「アクティブ型」と、携帯電話から電波を発信しRFIDがそれに応える「パッシブ型」の2種類のタグが使われる。
携帯電話もこれに合わせて、アクティブ型とパッシブ型の2種類が用意された。
方式 | 利用周波数帯 | 利用方式 | 読み取り距離 |
---|---|---|---|
アクティブ型 | 315MHz | KDDI独自方式 | 10メートル程度 |
パッシブ型 | 2.45GHz | 日立ミューチップ | 3〜5センチ |
まずパッシブ型は、RFIDチップをポスターなどに埋め込み、携帯電話で読み取る。RFID側に電源がいらないため、安価に作れるのが特徴だ。
FeliCa携帯を使った電子ポスターも実用化されているが(2月22日の記事参照)、こちらは携帯にFeliCaチップ、ポスター側にリーダーを組み込むためポスターのコストが高くなる。
携帯側では専用のJavaアプリケーションを起動し、「ゲット」ボタンを押すことで電波が発信される。近くにあるRFIDポスターに携帯を近づけると、RFIDからIDが受信され、携帯内部のデータベースからIDにひもづけられたURLを表示する。このURLにアクセスすると、商品の紹介やクーポン券などが画面に表示される。
RFIDには位置情報も組み込まれており「いつ誰がどこで、という情報がサーバに蓄積される。ユーザーの動線を把握でき、販促に役立つ」(説明員)。パッシブ型は非常に短距離でないと反応しないため、「ユーザーが興味を示してアクセスしたものに限られる」かたちだ。
アクティブ型は電波の読み取り距離が10メートル程度と長く、より幅広く情報を提供する役割を果たす。携帯を持って歩いているとチャイムが鳴り、携帯を開けるとお知らせが届いている──そんなイメージだ。
大型ディスプレイを使った電子ポスターが各階に設置され、画面のコンテンツに合わせて携帯が情報を取得する。パッシブ型と同様、RFIDから取得したIDにひもづけられたURLを携帯側で表示する。将来的には、IDとURLのデータベースをネット上に置く計画だ。
通路にもアクティブ型のRFIDタグが設置され、RFID携帯を持って歩くと、商店の情報などが携帯に配信される。
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