「航空ベンチャー」ではあっても「LCC」ではない──スカイマーク 西久保愼一社長に聞く:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/3 ページ)
スカイマークは2014年3月、プレミアムシートのみを搭載したエアバスA330-300を羽田−福岡などの国内幹線に導入する。同社を率いる西久保愼一社長に、その戦略と今後のプランなどを聞いた。
高級シートとミニスカ新制服
──私も実際のキャビンで試してみました。なるほど、これまでのエコノミーシートとはまったくの別物だと思います。
西久保: 横幅も約5センチ拡大し、隣席との間のひじ掛けも両側から使える幅があります。腰の落ち着き感も悪くないでしょう。本当は革製のシートのほうが汚れを簡単に拭きとれるのでメンテナンスが楽なのですが、シート素材もあえて高級なファブリック製にしました。ノーマルポジションのときの背もたれの角度も3度ほど深くしてあるので、離着陸時もゆったりした姿勢でくつろいでいただけます。そのあたりにもかなりこだわったんですよ。
──このプレミアムシートを、従来の料金帯とほぼ変わらない運賃で提供すると発表されました。本当に大丈夫なんですか?
西久保: やるしかないです。生き残りをかけた大勝負ですからね。
──A330-300は、2015年までに全10機を導入予定と聞いています。具体的な導入スケジュールは?
西久保: 2014年3月から、まずは2機で羽田−福岡線を運航します。その後、8月に3機目を受領して秋から羽田−那覇線に投入し、年内には6機体制に。2015年中には全10機をそろえ、那覇線のさらに半年後に羽田−新千歳線への導入をスタートします。
──従来のボーイング737より席数の多いA330-300の導入で、運航便数の減便などは考えてるのですか?
西久保: 多少の便数の調整は今後、必要になるかもしれません。例えば現在、毎日11便を飛ばしている福岡線は、10便もしくは9便に減らす予定です。しかし那覇線や新千歳線は、そもそもそんなに多い便数ではないので、変化はないと思う。全体としては、福岡線のみ1便か2便を減らすという程度で収まると考えています。
──12月のトゥールーズでは、A330-300の就航に合わせたミニのワンピースの新ユニフォームも披露されましたね。マスコミ各社は大騒ぎです(笑)
西久保: 思った以上の反響に、私も驚いていますよ(笑)。でもこの制服はあくまでキャンペーン用で、福岡線、那覇線、新千歳線ともに着用は就航後半年間の限定です。「ずっと着せてくださいよ」と言う記者さんもいましたが、半年したら元のポロシャツの制服に戻します。
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