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G-SHOCKは今や、ハイエンドも、売れ筋もアナログが主力――斉藤慎司さんG-SHOCK 30TH INTERVIEW(3/4 ページ)

G-SHOCKブームから15年。実はここ4〜5年、海外市場でG-SHOCKの販売数が急増しており、2013年は過去最高の出荷本数となる見込みだ。好調を支えるアナログモデルについて、SKY COCKPIT最新作「GW-A1100」を中心に話を聞いた。

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――今まで、G-SHOCKではサファイアガラスを使ったことはなかった?

斉藤 「MR-G」で例外的に使っていたくらいですね。一般のモデルでは初めてです。G-SHOCKでサファイアガラスを使うというのは、実はかなり大変なんです。サファイアガラスというのは日本の通称で、ガラスではないんです。他のエリアに行くと「サファイアクリスタル」と言われています。宝石と同じサファイアの原石を人工で棒状に作り、そこから薄く切り出して、研磨して風防にします。

 SKY COCKPITシリーズは視認性を高めるためにできるだけフェイスを広くとっているので風防の面積は当然大きくなる。そしてG-SHOCKの風防は、抜けないようにしないといけないので、その分厚く作らなくてはならないんです。オシアナスでもサファイアガラスを使っていますが、厚みが1.8ミリなのに対して、A1100では2.2ミリと厚い。使うサファイアの面積が大きく、厚くなるほど値段は高くなります。そのためベーシックなモデルで使うのは難しいのですが……今回はそれでもサファイアガラスを採用しました。

 見やすさという点からは、秒針をカーボンファイバーにした、という変更もありますね。秒針は普通アルミで作るのですが、SKY COCKPITシリーズの場合、秒を指すだけでなく、方位を示すのにも使いますから、大きくして目立たせたい。単に大きくすると重くなってしまうので(アルミより軽い)カーボンファイバーにすることによって、A1100の秒針は、A1000より大きいのに重さ3分の2くらいになっています。

 あとはりゅうずですね。A1000で採用したクイックロックりゅうずを改良しました。今まではねじロック式のりゅうずだったのですが、両側にバンパーがあるのが邪魔をしていたのを、A1100では簡単に引っ張り出せるように使いやすくしています。

なぜ「アナログG-SHOCK+新技術」になるのか

――実は私、斉藤さんに取材するの2回目なんですよね。前回は、やはりSKY COCKPITシリーズの「GW-4000」が出たときに、トリプルGレジストについて、どのように激しい振動に耐えうる耐振動性能を備えたのかお話をうかがいました(参照記事)。耐振動とか、方位計機能をつけるとか、SKY COCKPITシリーズでやっていることって、もしデジタルのG-SHOCKだったら、もうちょっと易しく実現できると思うんです。それなのになぜSKY COCKPITシリーズではデジタルではなく、「アナログのG-SHOCKに新機能を追加する」という、技術的に難しい方向性で新商品を出しているのですか?

斉藤 針の時計のほうが直感的に時間が分かる、という声は根強くありますし、市場としてアナログ時計のほうが大きいから、という理由は大きいですよね。確かにG-SHOCKの場合、新しい要素、新しい技術を重視して、そこに注力している……という側面はあります。新型の方位センサーができた話のように、技術的に大きな進歩があった時、それを使って新しいG-SHOCKを作ろう、という企画になるんですよ。

――1990年代後半のブームのころを知っている人ほど、G-SHOCKはデジタルのイメージが強いと思うんですが、最近のG-SHOCKは、“ハイエンドモデルはアナログ”ということが多いですよね。

斉藤 ハイエンドだけじゃないですよ。確かに日本では初代G-SHOCKである5600系、米国など海外では6900系のカラーモデルが強いですが、実は世界全体で見ると、いまG-SHOCKで一番数が売れているのは「GA-100」「GA-110」といった“針モノシリーズ”なんです。


左が「オリジン」こと初代G-SHOCK「DW-5000C-1A」。5000、5600系と言われるモデルはいずれもこのような四角いフェイスが特徴。右が6900の初代モデル「DW-6900H-1」。丸いフェイスの上部に三つ目が並ぶデザインが6900の特徴。6900系は特に米国で人気で、カラフルなモデルがたくさん作られた

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