米国のLED照明専門家に聞く、ブルーライトのメリット・デメリット(3/3 ページ)
米カリフォルニア大学でLED照明を専門とするチャールズ・ハント教授が来日し、LED照明から出るブルーライトの影響について講演を行った。
ブルーライトのメリット、デメリット
ブルーライトカットめがねの登場で、そのデメリットばかりが強調されるが、メリットも多い。例えば、教室の照明をLEDにすると、眠くなりにくくなり、集中力が増すという研究報告がある。学生や老人、航空管制官のような安全面の仕事に従事する人、病院で働く人がいる環境にはLED照明が向いているというのだ。また、季節性うつの解消にも役立つ可能性が指摘される。
さらに、国内でも交通信号がLEDに置き換わっているが、ハント教授によればLED信号は夜間、ドライバーの注意力を向上するという。このほか、公共空間では明るいLED街灯が防犯に役立つそうだ。
一方のデメリット。ハント教授が真っ先に挙げたのは電球に比べて色の表現力が乏しいことだ。基本的に青みがかった状態になり、人の顔は血色が悪くなったように見える。美術館や博物館などでは展示物の色合いが変わるだけでなく、ダメージを与える可能性もあり「もはや災害レベル(笑)」とジョークまじりで話す。
そして冒頭でも紹介した健康への害だ。まず、ブルーライトを浴びると、睡眠に関連性があるメラトニンの生成を抑制する可能性が高い。例えば、時差ボケを解消するためには太陽光を浴びるとよいといわれるが、これは太陽光に含まれるブルーライトを浴びるとメラトニンの量が減るからだ。
体内時計では、メラトニンの量が増え始めるのは午後9時ごろから。そして朝7時30分ごろになると生成が止まる。ブルーライトを夜間に多く浴びてしまうと、このサイクルが狂ってしまい、睡眠障害を引き起こす可能性につながる。
ハント教授は、「LEDバックライトのPCを使うのではなく、冷陰極管バックライトのものを使う。アンバー色(黄色)のレンズの入ったサングラスをかける。個人的な空間ではハロゲンランプを使う」といった対策を挙げた。
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