今回の試乗は東京・晴海の旧東京国際見本市会場跡地(2014年現在は更地)にパイロンを並べたクローズドな会場で行われた。高速走行時など、走りの全体像まで体感するまでには至っていない。ただ、数十分間の試乗でも「予想以上にいい。楽しい」と感じることができた。
前述した鋭い加速感、そして、試乗コースの小さなカーブでも、SKYACTIVテクノロジーで全面的に刷新されたボディとシャシーもカッチリ、しっかりとしていた。さぞや郊外のワインディングロードを走っても楽しいんだろう。ディーゼルエンジンが持つ力の厚みに、車体の骨太さ、そして車格以上の高級感と楽しさを感じさせてくれる新型デミオは、これまでのコンパクトエコカーにはなかった楽しさがある。ここは、他の方が試乗してみても体現できると思う。
デミオのようなコンパクトカーのセグメントのクルマは、まずは街乗り、日ごろの買い物、子どもの送り迎えといった、日常の生活のための道具として使われる。そこに求められるのは、確かに燃費やサイズ、コストといった実用性が第一だ。事実、軽自動車や同クラスのライバルであるトヨタ・ヴィッツ、アクア、ホンダ・フィット、日産・ノートといった売れ筋の車種のPRポイントで目立つのは「低燃費」や「居住性やその付加機能」「安全性」の点で、「走りの性能」といった言葉はあまり聞かれない。
対して新型デミオは「運転の楽しさ」も一緒に前面に出ている。運転が楽しいと感じたのは、そうした燃費性能やクリーンさはもはや当たり前、そこにマツダのクルマとして「Zoom-Zoom」という走る歓びを感じさせるものを込めたためだろう。
ドアを閉め、インテリアを見渡し、エンジンをかけ、そしてアクセルを踏む。その瞬間、グッと体が持っていかれるほどの加速感。走り慣れたいつもの道、いつもの角をちょっと走るだけでも、どことなくワクワクさせてくれそう。それこそが新型デミオの魅力だ。
試乗を終え、某コンパクトエコカーで帰路につく。加速はほどよくおとなしい。新型デミオに言われた気がした。「それ、楽しい?」と。「いろいろ仕方ない」──もし、こんな理由で現在のクルマを選んだのであれば、SKYACTIV-Dの4代目デミオに試乗してみてほしい。運転が楽しかった若い頃の記憶がホワホワホワと心地よくよみがえってくるはずだ(こちらも楽しみな「4代目ロードスター」は無理としても……ね)。
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