これは楽しい! “ず太い”加速──新型「デミオ」に乗って分かった好調の理由動画で解説、小型車×ディーゼルの意識が変わる(3/4 ページ)

» 2014年10月16日 08時00分 公開
[八百山ゆーすけBusiness Media 誠]

試乗:加速感がスゴイ 低速・街中でも運転そのものが楽しい

 今回は、新型デミオの中でもSKYACTIV-Dの1.5L DOHCディーゼルエンジンを搭載したモデル「XD Touring L Package」(2WD)を試乗した。

 XD Touring L Packageは、同じクリーンディーゼルエンジン搭載の「XD」をベースに、LEDヘッドライトや16インチアルミホイール、アクティブ・ドライビング・ディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ)、レザーシートなどを備え、エクステリアとインテリアをより上質にしたモデルだ。

(音声あり)新型デミオに試乗 

 乗り込んで最初に気が付いた。「ドアを閉めた時の音」が違う。コンパクトカーであるこのクラスのクルマにありがちな、なんとも軽い(薄っぺらいとも表現される)音ではなく「ドンッ」という重い音とともに、外の騒音が消えた。遮音性、密閉感、重厚感のあるそれは、数倍の価格になるであろう欧米車のドアの感じに近かった。

 メーターを中心としたコクピットは、エクステリアデザインと同様のスポーティさが心地よい。どちらかというと若々しいイメージだが、チープさを感じがちな樹脂部品が目立たない。2Lクラス以上で、車両価格もそれなりのクルマに乗ったような、ドライバーのワクワク感を維持させる上質さがある。

 また、このXD Touring L Packageは、センターに可動式のマルチモニター(ナビゲーションや各種調整の情報表示ディスプレイとして使用)が、さらにダッシュボードの上にヘッドアップディスプレイ「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」を標準で装備する。アクティブ・ドライビング・ディスプレイは車速をはじめとした走行中の情報が表示されるものだ。目線の移動が少なく、運転を楽しむのに集中できる。ちょっとした装備だが、こんな部分からもマツダが改めて提案する運転する歓びをイメージさせてくれる。

photo 新型デミオ XD Touring L Packageのインテリア(写真はMT仕様)
photo XD Touring L Packageには、ヘッドアップディスプレイも標準で備わる

 エンジンはプッシュボタンスタート式だ。アイドリングでは、ガソリンエンジンと変わらない程度の音しか室内に伝わってこない。ディーゼルエンジンは“ガラガラ”音と、かなり大きな振動があると身構えていたが、そうした音や振動は皆無だった。ちょっとアクセルを踏んで空ぶかしをしたが、回転計の針の動きにも緩慢さは見られない。普通のガソリンエンジン車のそれと受ける感覚は変わらない。こちらから言わなければ、同乗者はディーゼルだとおそらく気がつきはしないだろう。

 Dレンジに入れ、アクセルペダルを軽く踏み込む。ガソリン車、とくに1.3〜1.5Lクラスのエコカーは、回転計の針が上がってから速度が付いてくるという、ワンテンポ遅れた加速感が普通。同乗者やエコ走行によいのは分かっているが、でもね、もう少し(略)……とドライバーは感じる。対して、SKYACTIV-Dの新型デミオはどうか。回転計の針の動き出しとほぼ同時にクルマが動き出す。その後、踏み込んだアクセルの量よりもクルマが先に行くぞと感じられるほど、グッと厚みのある加速が得られる。

 これには、思わず「うぉ」と声が出た。強烈によい印象だ。最近のエコカーの「エコモード」のシルキーなままの加速に慣れてしまっているから、なおさらかもしれないが、アクセルをベタ踏みしたわけではない。日常的な運転の踏み方なのに、車格が上、しかもかなり上の大排気量車に乗ったような感覚が得られたのだ。これだけで楽しい。

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