G-SHOCKは今や、ハイエンドも、売れ筋もアナログが主力――斉藤慎司さんG-SHOCK 30TH INTERVIEW(1/4 ページ)

» 2013年06月26日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 今年で30周年を迎えるG-SHOCKの歴史を探る本インタビューシリーズもこれで6回目。初代G-SHOCK「DW-5000C-1A」の開発者・伊部菊雄氏から始まり、黒一色だったG-SHOCKをカラー化して米国に展開、日本での90年代のブームを仕掛けた伊東重典氏(参考記事)、同じくブーム時に伊藤氏と共にテーマモデルやコラボモデルを作り(参考記事)、ブーム後、2000年代に若者の時計離れが進む中、ものづくりの原点に回帰するという方針を進めた田中秀和氏のインタビューなどを掲載してきた。

 今回登場いただく斉藤慎司氏は、2013年現在、G-SHOCK全製品の商品企画の責任者という立場である。G-SHOCKが大ブームだった1997年にカシオ計算機の入社試験を受けて翌1998年に新卒入社、自身も学生時代からG-SHOCKを使っていたという斉藤氏が現在もっとも力を入れているハイエンドモデル「SKY COCKPITシリーズ」は、デジタル表示ではなく、針で時間を示すアナログモデルのG-SHOCKだ。斉藤氏によれば、現在世界でもっとも売れているG-SHOCK(後述)もまた、アナログモデルなのだという。

G-SHOCKの出荷数量。青が国内、赤が海外、緑が全体(クリックすると拡大して詳細を表示)

 ブームの頃のG-SHOCKの印象が強い人ほど、「アナログのG-SHOCK」というのは意外な印象を受けるのではないか。しかしカシオは、2000年代に入ってからアナログモデルのG-SHOCKにかなり力を入れており、実際にその結果も出ている。右のグラフは、1983年から2012年までのG-SHOCKの出荷数量をまとめたものだ。青線が国内、赤線が海外、緑色の線が全体の出荷数量である。国内・全体では1997年がピークだが、海外は2012年が過去最高。全体で見ても、1997年のG-SHOCKブーム時の数字に迫っていることが分かる。

 ハイエンドモデルも、人気モデルも……なぜ今G-SHOCKはアナログに力を入れるのか? その理由を斉藤氏に聞いていこう。(聞き手:吉岡綾乃)


トリプルGのSKY COCKPITに方位計をプラス

SKY COCKPITシリーズ最新作「GW-A1100」。6月28日発売

――SKY COCKPITシリーズの最新モデルがもうすぐ発売ですね。特徴を教えていただけますか?

斉藤 6月28日に発売される「GW-A1100」(以下、A1100)は、SKY COCKPITシリーズの最新モデルです。SKY COCKPITシリーズというのは、パイロットの方々に実用的に使ってもらえる時計というコンセプトで作っているシリーズなんです。「GW-3000」から始まって、今回のA1100で5代目になりますね。

 もともとは飛行機のコックピットは狭いため、飛行中にパイロットはあちこち腕を動かすと時計をぶつけてしまうそうなんで、「パイロットが着けるのに、(耐衝撃性能が高い)G-SHOCKは向いている」という話があり、そこから企画がスタートしています。さらに電波ソーラーモデルなら、時刻も正確ですから。

――最近のSKY COCKPITは、耐衝撃・耐遠心重力・耐振動性能の3つを備えた「トリプルGレジスト」の印象が強いです。A1100もトリプルGレジストなのでしょうか。

斉藤 A1100もトリプルGレジストです。この耐振動性能もそうですが、パイロットウオッチということで、これまでもSKY COCKPITシリーズには飛行機に乗るときに必要な機能を毎回新しく入れてきました。今回A1100では「飛行機に乗る」に加えて「万が一、何か起きてしまったとき」に対応できる機能を新しく入れています。

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