――2009年から2012年まで、シチズンブースの目玉アイテムは商品化前提の「コンセプトモデル」でした。実際に、半年から数年のタイムラグがあったものの商品化されています。今回から「フラッグシップモデル」という位置付けで、商品そのものの形での登場となりましたが、デザイナーとしてハードルが上がったということはありますか?
井上さん: 2本とも、これまでのコンセプトモデルと同じ仕事の進め方、感覚で取り組みました。コンセプトのときも「量産化も考えろ」ということはなくて、フリーハンドで仕事をしていました。「エコ・ドライブであればいいよ」と。あとは、技術者がすごく頑張ってくれると思いますので(笑)
――かつてコンセプトモデル「エコ・ドライブ ビトロ」を手掛けられたとき、「時計の概念を超えるもの」を目指したとコメントされました。今回の2本にも、その想いは投影されているのでしょうか?
井上さん: ケースとか文字盤といった概念を取っ払って考えたビトロほど、「先を行っている」意識はないですね。
時計をデザインをするときに、あまり「時計」を見ていることはないんです。いろいろなものを見てきて、何か新しいものを作りたいっていうスタンスです。今回の2本も、そういうところから生まれてきたものです。
やっぱり「驚き」ですかね。パッと目がいくとか、ハッとなる「何か」が、コンセプトモデルやそれに近い位置付けのフラッグシップモデルには大切だと思います。その「何か」はよく分からないんですけど(笑)
――時計とは時刻を知らせる実用的なものという側面もありますが、何かがハッと感覚に訴えかけてくるエモーショナルなものを作りたいということでしょうか?
今年のブースのインスタレーションもそうでしたが、特に説明がなくてもハッとするとか、思わず感じるもの。何かそういうものが時計でも表現できて、伝えられるといいのかなと思います。
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