G-SHOCKタイ工場が復興できたのは、従業員たちのおかげ――カシオタイ社長インタビューあの洪水から1年半(2/4 ページ)

» 2013年05月01日 16時50分 公開
[永山昌克,Business Media 誠]

――この地方はもともと人件費が安いというメリットがありました。しかしインラック政権による最低賃金引き上げが実施され、今はそのメリットはありません。タイの中心地から遠いことがデメリットになりませんか?

狩佐須 この場所は今の政権ができる前から探していた場所です。距離が遠いので物流コストはハンデになりますが、その部分は、直接的または間接的な生産性の向上によって、キャッチアップに近いところまで実現できています。

新工場では約1100名の従業員が勤務している。そのうち約300名は、旧工場から働き続けている従業員だ

――タイの人件費は将来的にさらにアップしていく中、ほかの企業では、輸出拠点としてだけでなく、タイにマーケットとしての価値を見いだしているケースもあります。この工場の場合は現在100%輸出していますが、今後ものづくりの拠点としての位置付けはどう変わっていくでしょうか?

狩佐須 今われわれが目指しているのは、ものづくりで付加価値を創造することです。付加価値を高めれば、たとえ人件費が上がっても、それを吸収できると考えます。マーケットとしての魅力は、時計だけを考えた場合、むしろインドや中国のほうが大きいといえます。ここでは、工場としての付加価値の創出を目指していきます。

ここで採用した従業員の多くは、農家出身ののんびりとした性格だという

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