オメガ、1万5000ガウス以上の磁気に耐える新型ムーブメント発表

» 2013年01月29日 19時01分 公開
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 オメガは2013年1月17日、スイス・ジュネーブで1.5テスラ(1万5000ガウス)以上の磁気に耐え得る時計を発表しました。この数値は、従来の時計が誇っていた耐磁性能を上回るもので、何世紀もの間時計メーカーを悩ませてきた磁気帯の問題を解決した新作です。

 ジュネーブのシテ・ドゥ・タンで開かれた記者会見では、オメガのレイナルド・アシュリマン副社長がムーブメントを発表しました。今回の開発に関わったオメガの製品開発部トップを務めるジャンクロード・モナション、ASULABのマイケル・ウィルマンCEO、ETAのティエリ・コーヌス研究開発部長、ETAのトライボロジー&マテリアルのエンジニアであるマシュー・ウルヴェさんが出席しました。

 アシュリマン副社長は、所属するすべてのブランドと関連会社の中から最高のエンジニアと研究員を集め、その力を結集できるスウォッチグループの体制を強調しました。「オメガの社員だけでなく、ASULABやETAから参加したすべての人がヒーローです。彼らが共有する熱意やクリエイティビティがあって初めて、この素晴らしい技術革新を今日ここでみなさんに発表することができるのです」。

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 プロトタイプのムーブメントは、オメガ シーマスター アクアテラに搭載しました。耐磁対策として、これまでの時計内部に保護ケースを使用する方法ではなく、ムーブメントそれ自体に鉄を含まない素材を使用しました。現在いくつかの特許が申請中です。

 ジャンクロード・モナションは、オメガの長い技術革新の歴史について、1894年にまで遡るハイライトをスライドショーで説明しました。磁気の影響は常に時計メーカーに悩みの種であったこと、さらに現代の日常生活において磁気の影響はかつてないほど大きくなってきていることを指摘します。

「時計メーカーは常に、磁気帯びを避けるための策をとらなくてはなりませんでした。それは、機械式時計が本来有する性能を十分に発揮するための必須課題だったのです。今回の新しいムーブメントの登場により、この問題は解決されることになります」

 モナションはまた、スウォッチグループのCEOであるG.N.ハイエックがオメガに完全耐磁性時計を作ることを提案し、オメガがその関連会社からエンジニア、科学者、冶金技術者を集め、この難題にチャレンジしたことも語りました。

 ASULABのウィルマンCEOは、日常生活における磁気の影響の問題についてプレゼンテーションを行いました。磁石と磁気についての簡単な説明を行い、永久磁石の力が日々進化し、強くなってきていることが今回のムーブメント開発の大きなモチベーションになったと話します。

 ETAのコーヌス研究開発部長は、時計の内部ケースが磁気の影響を最小限にとどめるようデザインされていたことなど、これまでの磁気対策を紹介しました。従来のアプローチでは、日々強くなってきている永久磁石の力に対応することが難しくなっていることや、ムーブメントの眺めを遮ってしまうことが美的観点から好ましくないことを指摘します。

 そして、高度の磁気にさらされた従来の機械式時計が突然止まってしまい、その精密性を失ってしまう様子をショートフィルムで公開しました。今回のオメガのプロトタイプは、1万5000ガウスというより高度なレベルの磁気にさらされた後でも、動作の正確性にまったく影響を及ぼさないことがテストで実証されています。

 さらに実演が披露され、オメガの新しい1万5000ガウス ムーブメントが時計メーカーにとって進化のランドマークになるであろうことが印象づけられました。オメガはこの技術を2013年4月のバーゼルワールド フェアで発表します。新しいムーブメントであるオメガ コーアクシャル キャリバー8508は2013年のマーケットで紹介する予定です。

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オメガ

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