世界でも一部のエアラインだけが設定するファーストクラスは、厚いベールに包まれ、普段なかなか覗き見ることができない。それらのなかでも「最高峰」と言われるのが、エミレーツ航空がオール2階建て機エアバスA380に搭載している個室キャビン「プライベートスイート」だ。成田からドバイへのEK319便に乗り、高度1万メートルで繰り広げられる極上の空のもてなしをレポートする。
これまで私は、さまざまなエアラインのビジネスクラスやファーストクラスを体験してきた。最近は各社とも上級クラスのサービスには力を入れ、シートも機内食などのサービスも大きく“進化”している。シートは180度水平になるフルフラットベッド型が主流だし、上空でサービスする食事も一流ホテルや著名なシェフとのコラボによる豪華なメニューが用意されるようになった。しかし、過去に体験してきたどれもが、A380に搭載されたこのエミレーツ航空のプライベートスイートの前にはかすんで見える。
まずは、完全個室型のシートだ。ファーストクラスが設定されているのは、A380のアッパーデッキ(2階席)の前方キャビン。2つの通路をはさんで14の個室が設けられている。飛行機に乗るというよりは、一流ホテルにチェックインして部屋に通されたような感覚に近い。2つの個室が隣り合わせに並ぶ中央席も、電動式の大型パーティションを上下することでソロシートとしても使える。
私は「2A」──窓側のソロシートに案内された。電動式の扉の先に広がるのは、木目調とアイボリーを基調に、パーソナルモニターの枠組みなどにゴールドをあしらった気品あるデザイン空間。高級レザー張りのシートは、身体をやさしく包み込む独特の心地よさだ。深夜便のために照明を抑えた個室に、テーブルの横でやさしいランプの灯りがともり、壁に飾られた蘭の生花がぼんやりと浮かび上がっている。
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