オ・ト・ナの社会科見学 in 香港――キャセイパシフィック航空本社に潜入!旅好き女子・オノリョの香港リポート(2)(3/3 ページ)

» 2013年01月17日 21時40分 公開
[小野田涼子,Business Media 誠]
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ケータリングのパンはサンドイッチ以外すべて自家製

 さて、本社敷地内のビルを移動すると、関連会社の1つ、キャセイパシフィック・ケータリング・サービスがある。乗客が普段機内で食べる機内食を提供している会社だ。キャセイパシフィック航空はもちろん、香港国際空港を経由するさまざまな航空会社の機内食を作っている。

 ここでは、キャセイパシフィック・ケータリング・サービスで和食担当19年の森静昭シェフに案内してもらった。森シェフは、日本料理屋『なだ万』香港島店のオープンメンバーとして現地を訪れ、そのまま香港に居付いてしまった香港在住歴31年のベテランだ。

機内食工場に入るときは、職員さんと同じ白衣、帽子、マスクを着用する。筆者もこの通り。袖口をきゅっと持っているのは萌えポイント狙いではない。長かっただけ……
工場入口にある衛生管理のための手洗い、消毒エリア。長いホースは風圧で埃を飛ばすもの、さらにコロコロで残った埃なども取る
大きな調理場がいくつも。野菜やフルーツを切るエリア、サンドイッチを作るエリア、和食を作るエリアなど

 キャセイパシフィック・ケータリング・サービスでは、パンはサンドイッチ用以外はすべて自家製を使用するこだわりぶり。そのほか、メニューは月替わりだったり、和食の食材はやはり日本からの輸入だったり、裏話を交えて工場内を案内してくれた森シェフ。筆者も飛行機に乗るようになってから早15年以上が経つが、最近の機内食は結構美味しいと思う。

機内食ならではの工夫は?

 せっかくなので、機内食という特殊な食事で工夫している点を森シェフに聞いてみた。

 「揚げ物とかはやはり厳しいですね。冷めても美味しいものを考えます。また、気圧の影響で、機上では味覚が2〜3割落ちるため、味付けを濃くしています。乾燥対策にソースを使ったりとかの工夫もあります」

 そんなに味付けが濃いと思ったことはないのだけど……。なんと、機内では味覚が落ちていたのか! 知らなかったー。また、そばは機内の乾燥でくっついてしまわないよう、山芋を入れたりなどの工夫があるという。帰りの機内では「あ、ホントだちゃんとソースが付いてる」「これは山芋入りなのだな、フムフム」と、森シェフの顔を思い出しながら、美味しく機内食をいただいた。

お肉メニューも圧巻! プチトマトを淡々と載せる作業中。赤が入ると途端に彩りのよいメニューになった
手元には担当するメニューの盛り付け写真が入った指示書が
今回案内してもらった森静昭シェフ(写真左)とLouis Pangシェフ(写真右)

 ちなみにキャセイパシフィック航空では、ベジタリアン食、メディカルミール、チャイルドミールなど、国際航空運送協会(IATA)の規定に準拠した19種類のさまざまな特別食を用意している。こうした特別食のオーダーは、フライトの出発時刻24時間前までに予約が必要だ。

 今回、こうした航空会社の裏側を知ることができ、また1つ旅の楽しみが増えた。キャセイパシフィック航空は、香港国際空港内のビジネスクラスラウンジ「ザ・ウィング」と「ザ・キャビン」を2012年に改装したばかり。特に「ザ・ウィング」にあるザ・ヌードル・バーは吹き抜けと竹で作られた空間で一見の価値ありだ。モダンアジアなデザインのラウンジでゆったりくつろげば、退屈な搭乗待ちの時間もたちまち快適になること間違いなし。

 旅先だけでなく、空港から楽しい旅を満喫しよう!

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