コカ・コーラの工場で「グラソー ビタミンウォーター」の作り方を見てきた大人の工場見学(1/3 ページ)

» 2012年12月06日 16時00分 公開
[宮田健,Business Media 誠]
グラソー グラソー ビタミンウォーターをコンビニで見つけた

 「グラソー ビタミンウォーター」というドリンクをご存じだろうか。実は筆者もその名前を知らなかったのだが、取材資料の写真を見てピンと来た。これは米国の空港やホテル、デリなどの冷蔵庫によく置かれてるカラフルなボトルだ! あれがグラソーという名前であること、そしてコカ・コーラのブランドの1つということに気が付いたのは取材の直前だった。

 それもそのはず。2009年に日本へ上陸したグラソーは、これまでほとんど広告展開を行っておらず、クチコミやイベントなどの広報活動が中心だ。当初は「感度の高い若者が集まる場所」として東京から展開、その後、日本全国で販売しているが、いまも限られた場所でしか見つからない。

 日本コカ・コーラの中でもめずらしい販売戦略だ。今回、グラソーの製造をしているコカ・コーラ イーストジャパン プロダクツの茨城工場に潜入する機会を得た。グラソーの「ブランドの作り方」と「商品の作り方」、2つの側面からレポートしよう。

グラソーは5色並べて売る

 水分補給と栄養補給を同時に行えること――これがグラソーの機能だ。グラソーが生まれたニューヨークは、健康志向の強いビジネスマンが多い。米国における健康志向の高まりは「健康オタク」ともいえるほどの過熱ぶりだ。まず彼らが受け入れ、クチコミで広まったというわけだ。

 何よりも見た目にインパクトがある。赤、黄、ピンク、黄緑、紫……。ブランドや個別の製品名よりも記憶に残る。どぎつい色で「着色料で見た目だけをきれいにした、いかにも米国的な飲み物だ」と勘違いしてしまうのだが、実は合成着色料や保存料は使われていないというから驚きだ。

グラソー VERBALさんが書いたショートストーリー

 それぞれのフレーバーに付けられた名前も個性的だ。「re:boot」(リブート)、「stur-d」(スターd)、「dwnld」(ダウンロード)……。米国の若者が好んで使うようなスラング的スペルだ。意味はラベルに書いてある。それもそれぞれのフレーバーに合ったショートストーリー仕立てで、ミュージシャンのVERBALさんも「mr.V」として参加している。

 だが、グラソー。東京でもあまり見かけない。これは、「カラフルなボトルを5色すべて並べられる場所で販売したい」という販売戦略に起因する。グラソーのターゲットとなる若者が集まる場所には、グラソーだけがズラッと並んだカラフルでインパクトのある専用自動販売機を置くこともある。

 このように特殊なプロモーションを行っているグラソー。さぞや作り方も特別扱いなのだろう。いよいよ製造工場に潜入する。

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