マツダが2012年11月20日に発売した新型「アテンザ」は、排気量2.2リットルのクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」と、マニュアルトランスミッション(MT)「SKYACTIV-MT」を搭載するセダンタイプのモデルで、リッター22.4キロというハイブリッドカー並みの燃費(JC08モード燃費)を達成している。排気量2.0リッターのガソリンエンジンと自動変速機(AT)を搭載する従来のアテンザのJC08モード燃費がリッター13.4キロだったのに対して、67%もの燃費向上を果たした。
この良好な燃費には、SKYACTIV-D 2.2や軽量のSKYACTIV-MTの効果もさることながら、全モデルに標準搭載した新開発の減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」も一役買っている。マツダが東京都内で開催した新型「アテンザ」の発表会で、i-ELOOPの詳細について説明があったので紹介しよう。
i-ELOOPは、燃費向上のための電気デバイスの導入を段階的に進めるという、マツダの「ビルディングブロック戦略」の第2段階に当たるシステムである。
蓄電デバイスとして、鉛電池やニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池よりも電力を素早く充放電でき、繰り返し使用しても劣化が少ない電気二重層キャパシタを採用した。1回の減速で二次電池を使った場合よりも多くの電力を回収できるので、ハイブリッドカーのように大出力のモーターや大容量の二次電池を持たない乗用車でも、高効率の減速エネルギー回生を行えるようになるという。
i-ELOOPの概略については、2011年11月開催の「東京モーターショー2011」で発表した。電気二重層キャパシタのほかに、新たに開発した出力電圧を12〜25ボルトの範囲で変えられるオルタネータ(小型発電機)や、電装部品に供給する電力の電圧を12ボルトに降圧するDC-DCコンバータなどで構成される。
i-ELOOPでは、走行中にアクセルをオフした瞬間から、オルタネータによって最大で電圧25ボルト/電流200アンペアの電力を出力して、数秒で電気二重層キャパシタを満充電にする。電気二重層キャパシタに蓄えられた電力は、DC-DCコンバータで12ボルトに降圧して、カーエアコンやカーオーディオをはじめとする電装品を動作させたり、鉛電池を充電したりするのに利用できる。
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